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外壁塗装における有害物質の危険性と適切な対策

外壁塗装作業では、従来の塗料に含まれる鉛化合物や有機溶剤、酸化チタンなどの有害物質への暴露が、作業者の健康を脅かすリスクとなってきました。これらの有害物質は、神経障害や呼吸器疾患、発がんなどの深刻な影響を及ぼす可能性があるためです。しかし近年、環境や健康に配慮した代替塗料が次々と開発されてきており、適切な防護対策と合わせることで、外壁塗装工事における有害物質リスクを大幅に低減することができます。本コラムでは、有害物質の危険性と予防対策、環境配慮型塗料の選択について解説します。

外壁塗装で使用される有害物質の種類

外壁塗装では、様々な有害物質が含まれる塗料が使用されています。主な有害物質としては以下のようなものがあげられます。

【鉛化合物】

過去には鉛を含む塗料が広く使用されていましたが、現在では規制が強化されています。しかし古い建物の塗膜を剥がす際には注意が必要です。

【酸化チタン】

白色顔料として使用されており、粉塵を吸入すると肺がんのリスクが高まると指摘されています。

【キシレン、トルエン】

溶剤として使用されていますが、中枢神経系に影響を与える有機溶剤です。吸入や経皮暴露で頭痛やめまい、吐き気などの症状が出る可能性があります。  

【塩化メチレン】

極めて強い溶剤で、過去には広く使用されていましたが、発がん性が指摘され、現在は使用が規制されています。

このように、外壁塗装では様々な有害物質が含まれる塗料が使用されているため、適切な対策が必要不可欠です。

これらの有害物質が及ぼす健康被害

外壁塗装で使用される有害物質は、人体に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。

【神経系への影響】

キシレンやトルエンなどの有機溶剤は、中枢神経系に影響を与えます。一過性の頭痛やめまい、吐き気などの症状に加え、長期間暴露すると記憶力の低下や運動失調などの永続的な神経系への障害が生じる恐れがあります。

【呼吸器系への影響】  

塗料の粉塵や有機溶剤を吸入すると、咳、喘息発作、肺の機能障害などの呼吸器系の症状が起こる可能性があります。酸化チタンなどの微粉塵を長期間吸入し続けると肺がんのリスクも高まります。

【発がん性】

塩化メチレンなどの物質には発がん性が指摘されています。また、鉛化合物にも発がん性があると疑われています。

【その他の慢性的な影響】

長期間の有害物質暴露は、肝臓や腎臓への障害、貧血、不規則な生理などの健康被害をもたらす恐れがあります。

このように、外壁塗装作業における有害物質への暴露は重大な健康被害の原因となりうるため、十分な注意が必要不可欠です。

外壁塗装工事における有害物質暴露のリスク

外壁塗装工事では、以下のような場面で有害物質への暴露が起こる可能性があります。

【塗装作業時の吸入】

塗料の塗布やスプレー作業時に、有機溶剤やその他の有害物質を含む微粒子や蒸気を吸入してしまう恐れがあります。特に密閉された空間で作業を行う場合は換気が重要です。

【塗膜の剥離作業時の粉塵吸入】

古い塗膜を剥がす際に、鉛やその他の有害物質を含む粉塵が舞い上がり、それを吸入してしまう可能性があります。粉塵対策が不可欠です。  

【適切な換気がなされない場合の室内汚染】

作業場所の換気が不十分な場合、有機溶剤の蒸気が室内に蓄積し、作業者だけでなく周辺の住民にも健康被害が及ぶ恐れがあります。

このように、外壁塗装工事では作業の各段階で有害物質への暴露リスクが存在します。従って、適切な防護具の着用や換気対策などの予防措置を怠らずに行う必要があります。

有害物質暴露を防ぐための対策

外壁塗装工事で有害物質への暴露を防ぐため、以下のような対策が重要です。

【適切な換気の確保】

作業場所の換気を十分に行うことが最も重要です。換気扇や窓の開放など、換気経路を確保し、有害物質の蓄積を防ぎます。密閉された空間で作業する場合は、局所排気装置の設置が望ましいでしょう。

【防塵マスクの着用】  

塗膜剥離時に発生する粉塵を防ぐため、適切な防塵マスクを着用します。マスクの種類は作業内容に応じて使い分けが必要です。

【手袋やゴーグルの着用】

皮膚や眼への直接暴露を防ぐため、不浸透性の手袋とゴーグルを着用します。

【作業後の入浴と汚染衣類の交換】

作業後は、速やかに入浴し、汚染された作業着は交換するなど、二次的な暴露を避ける必要があります。

【定期的な健康診断】

長期的な健康影響を把握するため、有害物質取扱い作業従事者には定期的な健康診断が義務付けられています。

これらの対策を怠らず実施することで、外壁塗装工事における有害物質暴露によるリスクを最小限に抑えることができます。

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まとめ

外壁塗装では、鉛化合物や有機溶剤、酸化チタンなど様々な有害物質が含まれる塗料が使用されてきました。これらの物質への暴露は、神経障害や呼吸器疾患、発がんなどの深刻な健康被害を引き起こす可能性があります。

そのため、外壁塗装工事では以下の対策が不可欠です。

– 作業場所の適切な換気

– 防塵マスク、手袋、ゴーグルなどの防護具の着用

– 作業後の入浴と汚染した作業着の交換

– 定期的な健康診断

さらに、VOCの少ない低溶剤塗料や天然素材由来の塗料など、環境にやさしい代替塗料を積極的に選択することも重要です。

有害物質への過剰な暴露は避けるべきですが、適切な対策を講じることで、外壁塗装作業を安全に行うことができます。作業者の健康と環境保全の両立を目指すことが求められています。

これらの対策と環境配慮型塗料の活用により、外壁塗装工事における有害物質リスクは大幅に低減できるはずです。建物の美観と共に、作業環境の安全性も確保していく必要があります。

監修者
近岡 正平
株式会社ファミリーDesign

Manager

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【保有資格】
一級建築士
二級建築士
福祉用具専門相談員
監理技術者
既存住宅状況調査技術者
建築物石綿含有建材調査者

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