銀行融資が不動産投資の成功のカギ!融資審査の攻略法
「少ない元手でもはじめられる!」
「手持ち資金10万円からでも可能!」
など、投資初心者にもハードルが低いように表現される不動産投資。
手持ち資金が少なくてもはじめられるのは、銀行からの融資が前提となっているからです。
不動産投資は不動産を購入するのが前提です。そのための資金として、数千万円、もしくは億単位の資金は金融機関からの資金調達が必要です。
融資を受けるために避けられないのが、融資審査です。
金融機関は融資審査の際に、何を基準にどこを重視して融資の可否を判断しているのでしょうか?
不動産投資向けの融資は住宅ローンとは違う事業性ローンなので、当然のことながら審査の基準が異なります。
重要視している点は主にこの2つ
◆借り入れをする人の返済能力
◆購入する不動産の収益性
不動産投資向けのローンでは、借入人の返済能力はもちろんですが、購入する不動産の「収益性」も重視されます。
昨今では、以前に比べ不動産投資家への調査では融資の審査が厳しくなったといわれています。融資不可となっては不動産投資の初期段階からつまずいてしまいます。それを避けるためにも、融資の審査の攻略ポイントを抑えておきましょう!
目次
1.不動産投資ローンとは?
不動産投資向けの銀行融資、不動産投資ローンを攻略するために、まずは概要をしっかりと理解しておくことが必要です。
不動産投資ローンの特徴と種類について把握しましょう。
住宅ローンとのちがい
住宅ローンと不動産投資ローンは、不動産を購入するという意味では同じ性質があります。しかし、購入の目的が大きく異なります。
住宅ローン
ローンの借り入れをした人が自分で住むための不動産を購入するために利用するもの
不動産投資ローン
自分が住むためではなく、賃貸経営事業のための不動産の購入費用にあてるもの
住宅ローンの金利は「より多くの人がマイホームを購入できるように」と低めに設定されています。一方で、不動産投資ローンは事業性のローンなので特に住宅ローンほど金利が低いということはありません。
過去にはこの金利差に着目し、不動産投資に住宅ローンの利用をアドバイスしていた不正が発覚した事件もありました。事業目的での住宅ローンを利用が発覚すると、融資金の全額返済を求められるなどのペナルティがあります。
不動産投資のための資金調達には不動産投資ローンを利用するのが鉄則です。
不動産投資ローンの種類
不動産投資ローンには、いくつかの種類があります。
ここでは特に融資を実行する銀行側の役割によって、大きく2つの分類について解説します。
実際に銀行から融資を受ける場合には、以下のどちらかになるので両者の違いも含めて理解しておきましょう。
アパートローン
アパートローンは、投資目的でマンションやアパートなどの不動産を購入するために利用できるローンです。「アパートローン」という名称ですが、アパートだけに限定するものではなく、マンションの購入にも利用できます。
アパートローンの最大の特徴は、保証会社の存在です。
資金を出すのは銀行なのですが、銀行だけがリスクを取るのではなく保証会社を付けることでリスクヘッジをします。
アパートローン向けに保証を提供している専門の保証会社があるので、そこに保証料を支払うことによって銀行はリスクを減らしながら融資を実行できます。
プロパーローン
不動産投資向けの銀行融資には、プロパーローンもあります。先ほど解説したアパートローンとの大きな違いは、保証会社が入らない点です。銀行がリスクを取って融資を実行します。
保証料は発生しませんが、銀行が融資の安全性を高めるために連帯保証人を求められるケースが多く、審査もより厳しくなります。
2.不動産投資ローンの銀行審査で見られるポイント
銀行が債務者に返済能力があるかどうかを判断するために、審査が行われます。主な審査項目4つについて、それぞれ解説していきましょう。
1.個人の属性
まずひとつめに、債権者の「信用力」を示す属性です。これは年収と勤務先といった属性情報によって決まります。銀行によって多少の違いはありますが、年収の最低ラインは400万円だといわれています。なかには700万〜1,000万円をラインに設定しているところもあるようです。
一般的に、メガバンクほど属性に対するハードルは高く、地方銀行やネット銀行、信用金庫などのローカルな金融機関は低いといわれています。また、勤務先は、会社の規模や歴史、経営基盤が重視されます。個人事業主は、医師や弁護士などのいわゆる士業でない限り、サラリーマンよりも不利になることが多いようです。
一般的に、メガバンクほど属性に対するハードルは高く、地方銀行やネット銀行、信用金庫などのローカルな金融機関は低いといわれています。また、勤務先は、会社の規模や歴史、経営基盤が重視されます。個人事業主は、医師や弁護士などのいわゆる士業でない限り、サラリーマンよりも不利になることが多いようです。
銀行が審査において属性を重視するのは、返済能力を測るためです。
不動産投資の収益性も重視されますが、その不動産投資の成否に関係なく銀行は融資した資金を回収する必要があります。
そのときに重要になるのが借り入れをする本人の属性です。 返済に十分な収入があるか、それが今後も継続するかを審査する基準が個人の属性なのです。
2.自己資金の多さ
ふたつめのポイントは、自己資金の多寡です。不動産を購入するために必要な資金のうち、自己資金としてどれだけの金額を用意しているのかも審査に影響します。その理由は、2つあります。
理由1
自己資金が多いと借入金が少なくなるため、その分リスクが低くなると判断される。
理由2
自己資金の多寡よりも重視するのは、お金の管理がしっかりできる人物であるかということです。自己資金として数百万円、数千万円を準備できたという事実が、信用の元になります。また、それだけの自己資金を投じて不動産投資をするのですから、不動産投資に対する本気度合いも評価の対象となります。
属性で条件をクリアしていても、銀行融資の審査に不安があるという方は、できるだけ自己資金を多く用意することを心がけましょう。
3.物件の収益力
みっつめに、物件の「収益力」があげられます。住まいを買うための住宅ローンは、債務者個人の信用力が問われます。それに加えて不動産投資ローンは物件の「稼ぐ力」=「収益力」が重視されます。
不動産投資の対象物件の賃貸物件としての魅力が重視されます。
- ・主要駅に近い
- ・人気の街にある
- ・最新設備がある
など、賃貸に出したときに借りたい人が多いかどうかが重要なのです。
物件に収益力があるということは、不動産投資が成功しやすいと判断されます。
高い稼働率を維持できれば返済の原資も順調に入るため、銀行としても融資のリスクが低くなります。
4.物件の担保力
よっつめには物件の「担保力」があげられます。万が一、債務者が返済できなくなったとき、銀行は物件を売却して残債を整理します。
銀行によって基準はまちまちですが、一般に築年数が浅いほど有利といわれています。
また、不動産の価値を決めるのは物件そのものの築年数や設備といった建物価値だけではありません。不動産の立地条件も資産価値に大きく影響を及ぼします。建物は経年劣化が避けられませんが、立地条件が劣化することはありません。
資産性の高い立地に建っているマンションであれば、築古になっても高い資産価値が見込めます。また、建て替えをしたとしても資産価値の高い物件になりやすく、銀行としても万が一返済不能に陥ったとしても十分回収できるとして融資をしやすくなります。
3.不動産投資ローンを扱う銀行の特徴
不動産投資ローンを取り扱っている銀行、金融機関にはさまざまな種類があります。ここではメガバンクと地方銀行、信用金庫・信用組合の3種類に絞って、その特徴や個人投資家が融資を受ける際に現実味がどの程度あるのかについて解説します。
1.メガバンク
メガバンクとは日本全国だけでなく海外でも業務を行っている、日本を代表するような大手銀行です。三菱UFJ銀行や三井住友銀行、みずほ銀行などが該当します。 日本全国に支店があるのでお住まいの地域にもメガバンクの支店があるかとは思いますが、個人投資家が初めての不動産投資で融資を申し込む対象としては、ハードルが高くなります。
メガバンクは顧客も大手企業が多く、取引している不動産投資家は大口投資家であることが多く、規模の大きさに加えて長い時間をかけて信用を積み上げている顧客でないと融資を受けるのはは難しい傾向があります。不動産投資初心者の融資審査が通ることはないと考えた方が無難です。
2.地方銀行
地方銀行は、それぞれの地域に本拠地を構えて自行の営業エリア内を中心に営業活動を行っている銀行です。各都道府県にそれぞれの地方銀行があるので、営業エリアも都道府県単位で棲み分けられていると考えてよいでしょう。
メガバンクと違って地方銀行はそれぞれの地域に根差して、地域の経済発展のために融資を行うことを主目的としています。営業エリア内の不動産投資に向けた融資も積極的に行っています。
過去には静岡県のスルガ銀行が地方銀行でありながら全、国的に不動産投資ローンを積極的に展開していました。しかし、融資の審査を通すために書類の改ざんなど不正行為を行っていたことが発覚したのは記憶に新しいことでしょう。
この不祥事の一件もあり、エリアを越境して地方銀行を利用する事例は少なくなっています。居住している地域、不動産を購入する地域を営業エリアとしている地方銀行から融資を受けるのが基本となります。
3.信用金庫・信用組合
信用金庫や信用組合は、地方銀行よりもさらにローカルな金融機関です。都道府県単位で営業エリアが棲み分けられている地方銀行に対して、信用金庫や信用組合は市町村単位をイメージすればわかりやすいでしょう。
信用金庫よりも信用組合のほうが、さらに小規模な事業者などきめ細かい金融サービスを行っています。このことは、それぞれの会員資格からもわかるでしょう。
事業者が会員(組合員)になる場合、信用金庫は資本金が9億円以下、信用組合は3億円以下を対象としているため、信用組合のほうがより小規模な事業者のための金融機関と位置づけられています。
個人投資家が不動産投資ローンを利用する場合、信用金庫や信用組合が最も現実味のある選択肢となってきます。地域経済発展のために融資を行うことが目的である以上、地域内で不動産投資をはじめる事業者も地域経済発展に貢献する一員と見なします。
他の金融機関では融資に前向きな返事がもらえなかったとしても、地域の信用金庫や信用組合であれば親身になってくれる可能性が高いでしょう。
ただし、これら地域の金融機関は日ごろからの取引関係が審査に大きく影響します。長らく預金口座を利用していることはもちろん、小規模な融資を利用して完済するなど実績を積み重ねておくことが不動産投資ローンの審査にも有利に働きます。
今すぐ不動産投資をはじめる予定がなくても、こうした金融機関との密接な付き合いをしておくことが重要です。
4.不動産会社の融資紹介がベスト
今回は、銀行審査に通る確率を高める方法について考えてみました。
銀行の融資審査をもっとも効率的に通過でき、手間を省ける方法があります。
それが物件を購入する不動産会社から紹介される金融機関のローンです。
審査に必要な「本人審査」と「物件審査」のうち、物件審査はすでに通っている状態なので、審査がスムーズになります。また、一般的な金融機関のローンよりも、金利優遇を受けやすくなる可能性もあります。
加えて、銀行は物件を販売している不動産会社の信用も審査しています。不動産会社と取引実績がある銀行であれば、その部分の信用でも有利になります。
不動産投資のための融資を最初に検討するべきは不動産会社から紹介される銀行です。
紹介できる銀行が豊富であり、格の高い銀行を紹介できる不動産会社は信用度が高いと判断することもできます。物件購入の際は、不動産会社と相談してどのようなメリットを受けられるか、融資の条件などをよく確認して融資の申し込み先を選択しましょう。