知っている人だけが得をする、屋根修理の基礎知識
屋根の修理を失敗しないために、覚えていただきたい7つの基本ポイントをご紹介します。これを知るだけで、他の人よりお得に工事ができるかもしれませんよ。
何の基礎知識もない状態で初めてのことに挑戦しても、ある程度の形にはなりますが終わってから「ああすれば良かった」「もっとこうしたかった」という気持ちになることがあります。
金額の高い屋根の修理なら、なおさらです。
後悔しないためにも、屋根修理の基礎知識をこのページで覚え、満足できる工事を行いましょう。
目次
- 屋根修理の基本の「キ」
- 屋根修理の7つの基礎
- 基本その1:屋根材・形状を確認する
- 基本その2:屋根のトラブル・劣化度合いを把握する
- 基本その3:修理費用を確認する
- 基本その4:どんな修理施工をするのか
- 基本その5:見積もりのポイント
- 基本その6:信頼できる業者選び
- 基本その7:修理に最適な時期
- 基本を知れば、屋根修理も怖くない!
屋根修理の基本の「キ」
屋根のトラブルを見つけたら、あなたはまず何をしますか?
急いで業者を探したり、自分で直せる方法を考えたり、いかに安く済ませられるかを模索する方がほとんどではないでしょうか。もしかしたら、「何をしたら良いのか分からないから、見なかったことにする」方もいるかもしれません。
屋根のトラブルをそのままにしておくと、お家の内部に雨水が侵入し雨漏りが発生します。これは一次災害と呼ばれており、被害はこれだけにはとどまりません。雨漏りを放置していると、「腐食」「カビ」「シロアリ」などの二次災害へ進行していきます。
ここまで進んでしまうと、修理も大がかりとなり、リフォームが必要となるかもしれません。
屋根のトラブルに気づいたら、最悪の状態になる前に屋根修理を始める準備をしていきましょう。
屋根修理の7つの基礎
屋根修理をスタートする前に、まずはこの7つの基礎を確認していきましょう。
- 屋根材・形状を確認する
- 劣化の進み具合、屋根の状態
- 費用
- 工事
- 見積もり
- 業者
- 時期
7つの項目を、これから一つずつ解説していきますので、屋根修理をご検討の方はぜひ覚えていってください。
基本その1:屋根材・形状を確認する
屋根は表面に見えている部分だけでなく、見えない部分に何層も様々な素材が重なって構成されています。屋根材により耐用年数にも違いがありますので、一緒に確認してみましょう。
●一般的な屋根材
屋根材 | 耐用年数 | 詳細 |
屋根の一層目(一番外側で使用する素材) | ||
化粧スレート屋根(コロニアル) | 15~20年 | セメントに繊維素材などを混ぜて薄い板状にした屋根材です。 加工しやすく安価ですが、耐久年数が短いので定期的なメンテナンスが必要となります。 |
金属屋根(トタン屋根、ガルバリウム) | 20〜25年 | 軽量の金属を板状に加工した屋根材です。耐久性が高くリフォームの重ね葺き(カバー工法)でよく用いられます。 |
瓦屋根 (日本瓦、陶器瓦) | 50年以上〜 | 粘土を成型して焼き上げて作る屋根材です。日本では古くから屋根材として使われているポピュラーな素材です。 |
瓦屋根(セメント瓦) | 20~30年 | セメントに砂などを混ぜて成型し、乾燥・塗装して作られる屋根材です。 重量が重いので、荷重に耐えられる構造の建物にしか使えません。 |
アスファルトシングル | 25〜30年 | 防水シートと屋根材をハイブリットにしたような屋根材です。軽量で耐久性も高いのですが、専門の知識を持った業者しか施工できません。 |
棟板金 | 15~20年 | 屋根の頂点に設置する金属板のことをいいます。 |
屋根の二層目(外側と内側の中間)で使用する素材 | ||
防水シート (ルーフィング) | 瓦など、屋根材の下に敷きます。 屋根材とともに雨の浸水を防ぎます。 | |
屋根の三層目(一番内側)で使用する素材 | 20~30年 | |
野地板 (のじいた) | 20~30年 | 屋根材の土台となる、下地材です。 |
屋根に付属する素材 | ||
雨樋(あまどい) | 15〜20年 | 屋根をつたう雨水をいったん雨樋(あまどい)へ集め、下水や地表へ流します。 |
庇(ひさし) | 15〜20年 | 玄関や窓などに付ける屋根です。 木やポリカーボネートなど、様々な素材があります。 |
●一般的な屋根の種類
切妻屋根(きりづまやね)
・単純な屋根の形で雨が流れやすい
・導入コストも低い
・和・洋どちらの家にも合う万能屋根
寄棟屋根(よせむね)
・和・洋どちらの家にも合う
・構造上とても頑丈
・台風などの風圧にも強い
入母屋屋根(いりおもや)
・和の家でよく選ばれる
・昔ながらの装飾が施しやすい
片流れ屋根(かたながれ)
・密集住宅地で使われやすい屋根
・オシャレな家になる
方形屋根(ほうぎょう)
・方形は正方形
・ピラミッド型の屋根
陸屋根(りくやね・ろくやね)
・工場や作業場でよく選ばれる
・外からの光が入ってきやすい
はかま腰屋根(はかまごしやね)
基本その2:屋根のトラブル・劣化度合いを把握する
次に、屋根にどんなトラブルが起こっているのか、劣化の度合いを把握していきましょう。
劣化・不具合 | 経年劣化 | 自然災害 | 施工不良 | 詳細 |
屋根材のヒビ割れ | ◎ | 〇 | – | 経年劣化により、屋根材の耐久性が落ちることで劣化が進みます。 台風などで飛ばされた物が当たるのも原因の一つです。 |
スレート屋根の反り(そり) | ◎ | – | – | 経年劣化により、スレート屋根が反ってしまうことがあります。 |
スレート屋根がボロボロ | ◎ | – | 〇 | スレート屋根の塗装効果がなくなると、劣化が進みボロボロになってしまいます。 |
スレート屋根が水を吸ってブヨブヨ | ◎ | – | 〇 | スレート屋根の塗装が剥がれ、雨水を屋根材が吸水してしまうと起きるトラブルです。土台となる野地板にも影響を及ぼします。 |
スレート屋根の欠け | ◎ | ◎ | – | 強い風により石などが当たったり、屋根同士がこすれあったりすることで欠けてしまいます。 |
トタン屋根のサビ | ◎ | 〇 | – | 金属のトタン屋根は雨水によりサビが発生します。 |
棟板金の浮き | 〇 | ◎ | – | 風やネジのゆるみが原因で棟板金(むねばんきん)が浮くことがあります。 |
留め具である釘・ビスの浮き | 〇 | ◎ | – | 棟板金(むねばんきん)は、風により振動します。 この振動によりネジや釘、ビスが浮いてしまうことがあります。 |
漆喰の崩れ | 〇 | 〇 | – | 瓦屋根の土台となる漆喰は、崩れると隙間ができ浸水の原因となります。 |
縁切り、タスペーサーがされていない | – | – | ◎ | 雨水や湿気を逃がす隙間に、誤って塗装してしまうことが原因で起きるトラブルです。 |
雨樋の破損 | 〇 | ◎ | – | 経年劣化はもちろん、紫外線や風などによっても起こります。 |
雨樋のゴミ詰まり | 〇 | ◎ | – | 落ち葉やほこりなどによって雨樋が詰まると、 排水トラブルが起こりやすくなります。 |
基本その3:修理費用を確認する
屋根の現状を確認したら、費用の相場を見ていきましょう。
修理の範囲が広かったり、雨漏りなどで屋根の内部の木が腐るなどしていたりすると、修理では間に合わないためリフォームが必要となる場合があります。もしものことも想定し、屋根の全体的な修理相場も合わせて見ておきましょう。
修理内容 | 費用相場 |
屋根の部分的な修理 | |
化粧スレート交換 | 2千~5千円※化粧スレート一枚 (枚数が多くなれば一枚当たりの費用は下がります。) |
ガルバリウム交換 | 2千~6千円※ガルバリウム一枚 (枚数が多くなれば一枚当たりの費用は下がります。) |
瓦交換 | 1万~5万円※瓦一枚 (枚数が多くなれば一枚当たりの費用は下がります。) |
アスファルトシングル交換 | 4千~1万円※アスファルトシングル一枚 (枚数が多くなれば一枚当たりの費用は下がります。) |
ヒビ割れ(シーリング補修) | 1千~5千円 |
棟板金の取り換え | 3万~10万円 |
漆喰補修 | 3千~7千(1mあたり) |
雨樋修理 | 3千~10万円※修理の規模によって金額は上がります。少額修理の場合は火災保険を適用しての修理は難しいこともあります。 |
雪止め設置 | 3万~10万円※雪が多い地域でなくとも建物が隣接している場合、隣の家に雪が落ちてしまうため、取り付けをおすすめしています。 |
雨漏り修理 | 5~30万円※事前の調査費用で費用が高くなる場合があります。 |
屋根の全体的な修理 | |
屋根塗装 | 0~80万円 |
重ね葺き(カバー工法) | 80~120万円 |
葺き替え | 60~200万円 |
●中間マージンって何?
「中間マージン」とは、屋根の修理に複数の会社がかかわることで発生する紹介料です。例えば、依頼した会社は営業のみで、作業は提携する別の屋根業者に任せるというケース。2社が屋根修理にかかわることになるので、1社に支払う修理費用に別途紹介料がのることになります。
つまり、間に入る業者が多いほど修理費用が高くなってしまうということです。逆をいえば、1社のみで営業も施工もできる業者ならば、中間マージンがかからず費用を安く抑えることができるということになります。
自社で一貫施工している優良業者に頼むことで、屋根の修理費用を抑えることができるのです。
基本その4:どんな修理施工をするのか
屋根は外から見えている部分だけでなく、屋根材の下地、土台部分と層構造になっています。層ごとに材質も必要となる部品も異なるので、その部分ごとに的確な修理を行わなければなりません。
破損状況も様々で、そのトラブルに合わせて施工方法も変わっていきます。どんな施工があるのか、大まかな内容を把握しておきましょう。
屋根修理の内容 | 詳細 |
屋根の部分的な修理 | |
屋根材の交換・修理 | 破損した屋根材を交換します。1枚から可能です。 |
棟板金交換 | 屋根の頂点に設置されている金属板を取り換えることで、雨水の侵入を防ぎます。 |
漆喰補修 | 瓦の下の漆喰を、詰めなおしたり整えたりして調整します。 |
雨樋交換・補修 | 雨樋(あまどい)の劣化や詰まりによって、屋根や外壁に影響を及ぼすため、交換や補修を行います。 |
部分シーリング(コーキング) | ヒビを埋め、部分的な屋根修理に使用します。 応急処置としても使われることがあります。 |
屋根の全体的な修理 | |
屋根塗装 | 屋根材に最適な塗料を用い、再塗装します。 |
屋根重ね葺き (カバー工法) | 古い屋根材の上から、新しい屋根材を重ねて取り付けます。 |
屋根葺き替え | 古い屋根材を下地から剥がし、新しく取り付けます。 |
基本その5:見積もりのポイント
見積もりは、屋根修理を成功させるために重要な判断基準となります。大切な3つのポイントをしっかりと覚えていきましょう。
●丁寧な現地調査
直接屋根に登り、「修理が必要なのか」「どんな修理をするのか」「費用はどのくらいか」を現地調査してもらわなければ、適正な見積もりを出すことはできません。
屋根の上に上がらず、目視のみで見積もりを出すような業者は要注意です。
●詳細な見積もり
適正な見積もりを出すためには、修理範囲の正しい測定が必要となります。見た目の症状だけでなく、屋根材の下まで修理をするのかまで確認しなければなりません。
見逃しや漏れがないか、細かく調査し見積もり内容に反映されているかを見るようにしましょう。
●見積もり書のチェック
見積もりに、修理に必要な材料・道具の他に人件費や交通費などの施工費すべてが書かれているかどうかをしっかりと確認します。
見積もり書が適正かどうか分からないという場合は、第三者や専門家に判断してもらえると安心です。
基本その6:信頼できる業者選び
屋根の修理を失敗しないためにも、業者選びは慎重に行いましょう。業者により得手不得手はありますので、屋根の状況により選ぶのがおススメです。
●悪徳業者に頼まないために
屋根の修理を行う業者にも、悪徳業者と呼ばれる心無い業者も存在します。悪徳業者に頼まないように、業者選びの注意点を覚えておきましょう。
・訪問販売に注意!
突然家にやってきて、「あなたのお家の屋根は修理が必要です!」といって屋根の修理を勝手に提案してくるのが訪問販売です。このような業者は大幅な値引きやキャンペーンをうたい、高額な屋根修理をすすめてきます。
しかし、このような訪問販売による修理を行う業者に優良業者は存在しません。全国の消費者センターへも、訪問販売によるトラブルの相談が頻繁に寄せられています。
トラブルに巻き込まれないためにも、悪徳業者の手口をご紹介しておきます。
・「屋根が破損している」などといって不安をあおり、屋根修理をすすめてくる
・高額な費用を提示し、10万円以上の大幅な値引きを提案してくる
・見積もりがあいまいで、内容も「一式」などとまとめられている
・お得なキャンペーンをうたい、すぐに契約するよう迫ってくる
・すぐに契約をしないと、窓口になる担当者が変わるといってくる
・いつでも解約できるといい、仮契約までさせようとする
屋根の修理は現地調査が必要な施工です。目視だけで「修理が必要」と判断し、訪問してきた時点で知識のない悪徳業者であることは間違いありません。このような業者に気軽に頼まないよう業者選びはしっかりと行いましょう。
●屋根修理を請け負う業者
屋根修理業者 | オススメ度 | 詳細 |
家を建ててくれた業者 | △ | 屋根の修理が専門でなないので、別の修理業者が入り中間マージンが発生することがあります。 |
ハウスメーカー・大型工務店 | △ | 大きなハウスメーカーや工務店は信頼度が高いですが、屋根修理の専門ではないので下請けが対応することが多く、中間マージンも発生します。 |
地元の工務店 | △ | 屋根の修理のみの場合、専門業者に依頼するケースが多く中間マージン費用が高くなることがあります。 |
地元の屋根業者 | △ | 費用を抑えることができますが、業者の質を見極める必要があります。 |
地元密着の優良な屋根業者 | 〇 | 知識と経験が豊富で、費用も安く済みます。 地元密着で優良のため安心して任せられます。 |
悪徳業者 | × | 手抜きや高額請求など、屋根修理を失敗する可能性があるので決して契約しないようご注意ください。 |
訪問販売業者 | × | 突然屋根のトラブルを指摘してきたり、キャンペーンをしているといってきたりして高額な契約を取ろうとしてきます。 消費者センターに寄せられる相談が後を絶たないため、決して契約しないでください。 |
●元請け、下請け、孫請けとは?
業者選びでよく耳にする「元請け」「下請け」「孫請け」とはどんなものでしょうか?
ハウスメーカーや工務店などで屋根の修理が自社で行えない場合、専門知識を持った修理業者に依頼をします。
ここでは、屋根修理を頼んだハウスメーカーなどが「元請け」となり、修理業者が「下請け」となります。下請けで修理ができないと判断した場合、さらに専門的な知識を有する別業者へ依頼すると、そこが「孫請け」となります。
大手ほど業者が多くかかわり、中間マージンが高くなることを覚えておいてください。
基本その7:修理に最適な時期
屋根修理で特に気にしてほしいのが『雨』です。雨が降ると施工を中断しなければならず、長雨が続けばそれだけ工期も伸びてしまいます。
最適な時期を把握し、修理を始めるタイミングを見ていきましょう。
季節 | 月 | 詳細 |
春 | 4月 5月 6月 | 天候が安定し、屋根修理におススメの時期です。 |
夏 | 7月 8月 9月 | 雨や台風などにより、気を付けなければならない 時期になります。雨が降ったらすぐに対応し、天候を読める優良業者なら安心です。 屋根のトラブルが起きやすい時期ともいえます。 |
秋 | 10月 11月 12月 | 気候が安定し、最適な時期といえます。 しかし、業者が混み合う時期となるため、希望の日程が取れない場合もあります。 |
冬 | 1月 2月 3月 | 寒さが厳しい時期ですが、修理時期としては悪くありません。 冬場の作業に慣れた業者がおススメです。 |
基本を知れば、屋根修理も怖くない!
屋根修理の基本はお分かりいただけましたでしょうか?7つの基礎をしっかり把握していれば、急な屋根トラブルでも慌てることなく対応できます。
もっと詳しく知りたい、ここが分からないということがあれば、どんな小さなことでもお気軽にご相談ください。相談は無料です! あなたの屋根修理が成功するよう、全力でサポートさせていただきます。