外壁塗装に寿命はあるの?耐用年数と塗装サイクルを徹底解説
外壁塗装に使う塗料・建物・外壁材の種類別の耐用年数がわかり、適切な塗装サイクルの知識が身につきます。
外壁の塗り替え、どのくらいのサイクルで行うべきか、ご存じでしょうか?
外壁塗装で使用する塗料は、種類によって耐用年数が異なります。長いもので10~20年、短いものだと3~4年と、それぞれの特性で大きく変わってくるのです。
この耐用年数を知らず、塗り替えが必要な時期を見誤ってしまうと、外壁だけでなく建物も深刻なダメージを受けてしまい、高額なリフォームが発生してしまうことも。
正しい知識を身につけておきましょう。
目次- 1. 外壁塗装の耐用年数、具体的にわかりますか?
- 2. 種類別に異なる塗料の耐用年数
- 2-1. 外壁塗装のメンテナンス、維持費用を抑えるには
- 2-2. 塗料決めで判断を迫られる選択肢
- 2-3. 耐用年数を保つのにお勧めの塗料
- 3. 建物の耐用年数について
- 3-1. 外壁材の耐用年数とメンテナンス周期の関係
- 3-2. コーキング(シーリング)の耐用年数と打ち替え時期
- 3-3. 防水工事の種類と耐用年数
- 3-4. 屋根の材質と耐用年数
- 4. 塗料と建物の耐用年数の関係を整理
- 5. 塗料の耐用年数超過を判断する方法
- 5-1. 耐用年数が過ぎた建物はどうすればいい?
- 6. 耐用年数を長く保つ外壁塗装工事、4つのポイント
- ポイント1:地域性や住環境を確認すること
- ポイント2:塗料の品質にこだわること
- ポイント3:信頼できる外壁塗装工事業者を探すこと
- ポイント4:最低でも3回塗り以上してもらうこと
- 7. 悪質な訪問販売や悪徳業者に騙されない注意を
- まとめ
1.外壁塗装の耐用年数、具体的にわかりますか?
「外壁塗装の耐用年数」とは、具体的に何のことを指しているのか、よくわかっていないという方は、多くいらっしゃいます。外壁塗装の耐用年数は、大きく2つに分けられます。
一つ目は、塗料の耐用年数について
各塗料メーカーが、塗装後からどれくらいの期間の耐久性を保っていられるかを示しています。
二つ目は、建物の耐用年数について
国税庁が、建築材ごとに目安となる建物の寿命を発表しています。
この2つのバランスが、外壁塗装の耐用年数に大きく関わってきます。耐用年数に関する基礎知識をこれから詳しく説明していきます。
2.種類別に異なる塗料の耐用年数
塗料に含まれる物質の種類によって耐用年数が異なります。
塗料メーカーから販売されている商品それぞれの耐用年数がわからなくても、塗料の種類ごとに耐用年数の目安を把握しておくとよいでしょう。
塗料の種類 | 耐用年数 | 説明 |
アクリル系塗料 | 4~7年 | ・耐久度は低め ・コストパフォーマンスが高い ・汚れやすく耐久性に劣る ・最近ではあまり使用されていない |
ウレタン系塗料 | 6~10年 | ・耐久度は安定 ・コストパフォーマンスが高い ・汚れや色褪せに強い ・耐久性や施工性などバランスがよい ・近年はシリコン人気が強く使用頻度は低い |
シリコン系塗料 | 8~15年 | ・耐久度が高く、信頼のある塗料 ・住宅の屋根、外壁の塗り替えで最も多く使用されている ・汚れや色落ちに強い ・防カビ性・防藻性など高い性能あり ・コストパフォーマンスが高い |
ラジカル系塗料 | 8~15年 | ・耐久度が高く、信頼のある塗料 ・2012年に発売された比較的新しい塗料 ・コストパフォーマンスが高い |
光触媒塗料 | 10~15年 | ・耐久度が高く、信頼のある塗料 ・雨や太陽の光など自然の力でクリーニング効果がある ・メンテナンスがとても優れている ・塗装工事のコストがかかり、コストパフォーマンスは劣る |
ピュアアクリル塗料 | 12~15年 | ・トップクラスの高い耐久度 ・防水性が高い ・値段が高いので、塗装面積が多いとコストがかかる ・冬場は乾燥しにくく、工期が長くなる可能性がある |
フッ素系塗料 | 15~20年 | ・トップクラスの高い耐久度 ・耐用年数は最も優れているがコストが高い ・主に商業施設や大きなビルなどで使用されているが、近年は住宅外壁としても使われている ・光沢感と防汚性も高い |
遮熱系塗料 | 15~20年 | ・トップクラスの高い耐久度 ・熱を反射する効果があり、室内を快適な温度に保ってくれる ・省エネやエコ住宅にも対応していて、自治体によっては補助が受けられる場合がある |
無機系塗料 | 15~20年 | ・トップクラスの高い耐久度 ・耐候性も強く劣化しにくい |
耐用年数だけを比較すると、フッ素系塗料・遮熱系塗料>ピュアアクリル塗料>光触媒塗料>シリコン系塗料・ラジカル系塗料>ウレタン系塗料>アクリル系塗料という並びになります。最近では、耐用年数が10年程のシリコン系塗料が主流で、アクリル系塗料はあまり使われていません。
塗料の種類別比較表は、覚えておくと便利ですが、あくまで目安です。各メーカーは「新築時」の塗装を前提に耐用年数を設定している場合もあれば、「築10年後」で計算していることもあるためズレが生じることもあることを理解しておきましょう。
各メーカーは耐用年数を出すために、「促進耐候性試験機」という試験機を使って計算しています。
促進耐候性試験とは
擬似的に太陽・雨などの外的要因にさらされた状態を作り出し、劣化具合を確かめる試験です。
試験機の耐候性テストでは、自然環境のもとで行われたものではないことと、約10年サイクルで塗装されることを想定したものではないため、実際の耐用年数とはズレが生じることもあります。とはいえ、信用できない数字というわけではありません。あくまで目安として参考にしましょう。
2-1.外壁塗装のメンテナンス、維持費用を抑えるには
上図のように一戸建ての外壁塗装を例にあげると、塗料の種類で長期プランの塗り替え回数が変わってきます。40年の間に、耐用年数が10年の塗料では4回、15年の塗料では3回となり、かかる費用も変動します。維持費用を抑えるためには、耐用年数も考慮しながら慎重な塗料選びが必要です。
2-2.塗料決めで判断を迫られる選択肢
選択肢1:耐用年数が短く、安い塗料を使用し、短い周期で塗り替える
選択肢2:耐用年数が長く、高い塗料を使用し、長い周期で塗り替える
塗り替えにかかるコストで、重要なポイントになるのが工事費用です。塗装工事では、材料の塗料代だけでなく、職人さんの人件費や足場代にかかる費用が大きいのです。長い目でみると、塗料代が多少高くついても、塗り替える回数が少ないほうが、コストパフォーマンスが良いことも。全体のコストバランスを検討しながら塗料を決めましょう。
2-3.耐用年数を保つのにお勧めの塗料
長期的な塗り替えサイクルをどのように計画するかで、費用は大きく変わってきます。
それぞれの塗料のメリット・デメリットを考慮したうえで判断しましょう。
私たちがお勧めしたいのは、「耐用年数が長くてコストが安い」塗料であるシリコン系塗料とラジカル系塗料です。
しかしながら、塗装サイクルには、塗料だけでなく建物自体の耐用年数も大きく関係します。次は、建物の耐用年数について整理していきましょう。
3.建物の耐用年数について
国税庁から建築材ごとの建物の耐用年数が発表されています。
建物名 | 建物の耐用年数 |
木造(サイディング張) | 22年 |
木骨モルタル造 | 20年 |
れんが造・石造・ブロック造 | 38年 |
軽量鉄骨造 | 27年 |
重量鉄骨造 | 34年 |
鉄骨鉄筋コンクリート造 | 47年 |
このデータから、鉄筋や鉄骨、レンガなど石造の建物の耐用年数が長いことがわかります。
注意すべき点は、耐用年数22年とされている木造(サイディング張)です。何もしないで22年も保てるわけではありません。外壁塗装で使った塗料の耐用年数と建築材の経年劣化を考慮したうえで、周期的に塗り替えを行うことを前提として22年と算出されています。
建物は、築年数が経過するほど修繕費用が大きくなっていきます。外壁塗装も1回目と2回目では建物の傷み具合が異なるため塗装費用も変わってくるので、注意が必要です。
3-1.外壁材の耐用年数とメンテナンス周期の関係
外壁材の耐用年数の関係を整理し、メンテナンスの周期を確認しましょう。
素材 | 耐用年数 | 打ち替え時期 |
コーキング(シーリング) | 5~10年 | 約10年 |
- ヒビ割れ:コーキングにヒビが入る
- 剥離(はくり):外壁とシーリング材との間に隙間ができる
- 破断(はだん):シーリング材の真ん中が切れる
- 欠落(けつらく):シーリング材がとれた状態
劣化したコーキングは、現在の状態に補充する増し打ち、と古いコーキングと入れ替える打ち替えがあり、費用にも違いがあるので注意しましょう。
3-3.防水工事の種類と耐用年数
外壁塗装とセットで行う防水工事にも、種類によって異なる耐用年数が設定されています。
工法 | 耐用年数 |
ウレタン防水 | 10~12年 |
シート防水 | 10~12年 |
FRP防水 | 7~10年 |
アスファルト防水 | 15~20年 |
防水工事は、雨漏りを防ぐ工事で、屋上・ベランダ・バルコニー・屋根に行います。防水工事を怠ると、雨漏りのせいで建物の劣化が早まり、想定外に大規模なリフォームが必要になることもあるので、しっかりと検討しましょう。
3-4.屋根の材質と耐用年数
外壁塗装には、屋根に使われている材質の耐用年数とも関わりがあります。
屋根材 | 耐用年数 |
トタン屋根 | 10~15年 |
スレート屋根 | 15~20年 |
瓦屋根 | 40~60年 |
ガルバリウム鋼板 | 20~30年 |
アスファルトシングル | 20~30年 |
常に強い紫外線や風雨にさらされている屋根は劣化しやすいですが、塗り替えを定期的に行うことで耐用年数を保つことができます。
外壁材や建築材だけでなく屋根材の耐用年数を考慮しながら建物全体のメンテンナンスプランを立てましょう。
4.塗料と建物の耐用年数の関係を整理
建物の耐用年数は、塗料の耐用年数と大きな関わりがあります。
式にして例をあげると、下記のようになります。
木造(サイディング張)22年の耐用年数=塗料の耐久度 + 建築材の耐久度
どちらかの耐久度が低ければ、建物本来の寿命を短くすることになってしまうのです。
建物の耐用年数(寿命)が切れてしまった場合 | |
戸建てにお住まいの方 | ・思い出のある家に長く住めなくなる ・雨漏りなどが頻繁に起きる |
アパートやマンションのオーナー | ・古くなると入居者が増えない ・入居者が減るせいで家賃収入が入らない |
日本人は新築を好む傾向があるため、古い家やアパートは需要が減っていきます。メンテナンスを怠ると最悪の場合は、取り壊しや売却ということにもなってしまいます。
5.塗料の耐用年数超過を判断する方法
塗料メーカーが提示している耐用年数は、あくまで目安です。実際に、どのような現象が起きたら耐用年数が切れていると判断するのか、ポイントを抑えておきましょう。
- 外壁にチョーキング現象が見られる
- 外壁にカビやコケが生えてくる
- 塗装(塗膜)にひび割れが起きている
- 塗装が剥がれてきている
- 外壁が汚れてきている
- 金属部のサビが目立ってきた
外壁塗装工事から時間が経つと、塗装(塗膜)が削れて薄くなっていき、上記のような症状が出てきます。塗装後10年未満に、このような現象が発生してしまった場合は、初期の塗装が不十分だったことも考えられ、最悪の場合は、わずか数年でやり直しになるケースも。
本来の耐用年数を保つために、外装工事で気をつける点を知っておきましょう。
5-1.耐用年数が過ぎた建物はどうすればいい?
耐用年数が過ぎたとしても、すぐに何らかの対応が必要なわけではありません。しかし、メンテナンスをしていない建物はかなりのダメージが蓄積されています。深刻な老朽化が進むと、建物のリフォームや解体が必要になり、高額な費用を負担することにもつながります。
工事名 | 費用相場 |
リフォーム工事 | 100~300万(約30坪) |
※「Panasonicリフォーム」ホームページのリフォーム事例を参考に出したリフォーム費用 | |
解体工事 | 100~130万(約30坪) |
※「Panasonicリフォーム」ホームページのリフォーム事例を参考に出したリフォーム費用 |
建物の状況や施工範囲によって費用は変わってきます。
6.耐用年数を長く保つ外壁塗装工事、4つのポイント
外壁塗装の耐用年数を長く保つためには、塗料や建材以外に4つのポイントがあります。
ポイント1:地域性や住環境を確認すること
多雨、豪雪、高温多湿、凍結、海風が強い、山や崖が近いなど、立地や地域の環境によって、外壁塗装の耐用年数は大きく変わります。他にも、サイディングなどの外壁材を使った建物は、外壁が凍結しやすく「凍害」が起きやすいことも。環境に応じた丁寧な外壁塗装工事で、劣化予防対策を講じる必要があります。
ポイント2:塗料の品質にこだわること
外壁塗装の塗料は、安いから良いというわけではありません。私たちは、耐用年数を考慮したうえで、コストパフォーマンスが良いシリコン系塗料・ラジカル系塗料、耐久性に優れたフッ素系塗料をお勧めしています。
ポイント3:信頼できる外壁塗装工事業者を探すこと
悪質な塗装業者に工事を任せてしまうと、規定の塗布量を守らず薄めて使ったり、下塗りが雑だったりと手を抜かれることがあり、中塗り・上塗りの密着度が下がって、すぐに剥がれてきてしまうことも。安さだけに気を取られず、専門的な知識を持ち、丁寧な仕事をしてくれる塗装業者がどうかを第一に考えましょう。
外壁塗装工事にかかる単価も知っておくと、適正な見積もりが判断できるようになります。
最低でも見積りは3社から頂くようにすることを株式会社ファミリー工房はお勧めしています。
ポイント4:最低でも3回塗り以上してもらうこと
一般的に、外壁塗装は最低でも3回塗りが必要と言われています。耐用年数を高めたい場合は4~5回塗りを依頼することも。塗り回数が増えれば、その分のコストも高くなります。適正な塗り回数が判断できる外壁塗装の専門家に相談するのも良いでしょう。
7.悪質な訪問販売や悪徳業者に騙されない注意を
現在、悪徳業者による被害が増大しています。「わが社で開発した新しい塗料は、30~40年もの耐用年数を実現。塗りなおす必要がありません。」など、根拠が薄いトークで、独自開発の塗料を勧めてきます。騙されてはいけません。
「わが社だけ」「この地区だけ」などのセールストークには信ぴょう性がないことが多く、注意が必要です。少しでも怪しいと感じたら信頼できる外壁塗装の専門家へ相談したり、目安となる金額を確認したりすると安心できます。
まとめ
外壁塗装の耐用年数を保つためには、塗料と建物の耐用年数だけでなく、様々な要素がバランスよく構成されることが大切になります。
耐用年数 = 塗料の耐久度 + 建物の耐久度 + 塗料の特徴 + 建物の環境 + 塗装業者の技術レベル
これらのどの項目が欠けても、耐用年数に応じた外壁塗装は実現しません。特に、優良な外壁塗装業者との出会いが、外壁塗装工事の成功のカギとなるでしょう。