ベランダ防水工事4種類を紹介!特徴や費用、メリットとデメリットも解説
ベランダの防水工事は、見た目以上に重要な役割を果たします。建物の雨漏りを防ぎ、耐久性を保つには、適切な防水処理が欠かせません。この記事では、ベランダの防水に必要な基礎知識と、リフォームが必要なサイン、さまざまな防水工法の特徴や費用についてわかりやすく解説します。また、ベランダの防水性を長持ちさせるための方法も詳しく紹介。家全体のリフォームコストを抑えるためにも、ベランダのメンテナンスについて知っておきましょう!
ベランダ防水の必要性と基礎知識
水回りや内装に比べて、後回しになりがちなベランダのメンテナンス。しかし、ベランダ防水は、建物の長期的な保護と快適な生活空間の確保に欠かせません。ベランダ防水がなぜ重要なのか、そしてその基本的な仕組みについて詳しく解説します。
ベランダ防水の仕組み
ベランダ防水の基本的な仕組みは上から順に
・トップコート
・防水層
・素地調整
・下地
を重ね塗りすることで成り立っています。 ほかにも、合成ゴムや塩化ビニール樹脂でつくられた「防水シート」を貼る工法もあります。 防水層の耐用年数は約10年〜15年で、トップコートは約5年ごとの塗り替えが推奨されます。
ベランダ防水の必要性
ベランダは雨が吹き込みやすい場所です。防水加工が適切に行われていない場合、ベランダの劣化が進みやすく、長期的には建物の保全に影響を及ぼします。 建物全体の劣化を防ぐためにも、ベランダの防水対策は重要です。
ベランダ防水のリフォーム工事が必要なサイン
ベランダ防水の工事が必要かどうかは、見た目の状況で判断できます。 リフォーム工事の緊急性が高い順に解説します。
すでに雨漏りが発生している
ベランダに接した天井や壁ですでに雨漏りが起こっている場合は、防水リフォームが今すぐ必要なサインです。ベランダの防水効果がほぼゼロ。すでに建物の内部に雨水が流れ込み続けている可能性が高いです。雨漏りは、建物の構造に重大な影響を与え、建物の安全性も資産価値も低下させてしまいます。雨漏りを発見したら、雨漏り修理業者や防水工事業者に大至急連絡を!
ベランダに雑草が生えてきた
ベランダに雑草が発生しているということは、根がベランダの防水層まで達している証拠です。雑草を抜いても、そこから雨水が建物の構造部に侵入します。自分では抜かずに、ベランダの再防水工事をおすすめします。
塗膜の剥がれや大きな亀裂がある
塗膜の剥がれや亀裂は、防水層の劣化が進んでいる証拠です。雨水の浸透を許し、建物内部へのダメージを引き起こす可能性が高まっている状況です。大きな剥がれや亀裂になる前に、再防水工事を検討しましょう。
ベランダ表面の色あせがある
色あせは、紫外線による塗膜の劣化を示しており劣化の初期兆候です。劣化が防水層に達する前に、表面のトップコートを塗り直す作業が必要です。
ベランダやバルコニーに水が溜まる
ベランダに水が溜まるのは、排水口にゴミがたまっている、または、床の防水効果が低下が考えられます。
まずは排水口の掃除をご自身で行い、水が流れるかチェックしてみましょう。掃除をしても解決しない場合は、業者に現状をチェックしてもらいましょう。
ベランダ防水の主な工法
ベランダ防水には、表面を整えるトップコート塗り替えと本格的な防水層の形成工事があります。ここでは、トップコートの塗り替えと防水層の形成工事それぞれの特徴と費用相場について解説します。
トップコート塗装の特徴・費用を比較
定期的なメンテナンス、初期の劣化対策として行うトップコート塗装では、ポリエステル系とウレタン系があります。
トップコート塗装のメリットは、費用が低く、施工が簡単で、紫外線や摩耗から防水層を保護する効果があることです。しかし、耐用年数が4~5年と比較的短いため、定期的なメンテナンスが必要です。
種類 | 単価(㎡) | 特徴 |
ポリエステル系 | 2,200~3,000円ほど | 新築向け・強度はあるが、経年劣化で割れやすい |
ウレタン系 | 2,000円前後 | リフォーム向け・伸縮性があり、割れにくい |
リフォーム費用は選ぶ塗料や、防水層がFRPかウレタンかによっても価格が変動します。
実際には、上記の料金のほかに、高圧洗浄費にかかる費用や人件費なども発生するため、トップコートのみ塗装する際の総額は、4~8万円ほどかかるでしょう。
FRP・ウレタン・シート防水の特徴・費用を比較
ベランダ防水工事には、FRP防水、ウレタン防水、塩ビシート、ゴムシートといった複数の選択肢があります。それぞれの工法は、特有の特徴があり、どの工法を選択するかはベランダの条件や予算によって異なります。4つの工法の特徴と費用を一覧にまとめました。
種類 | 単価(㎡) | 特徴 |
FRP | 4,000~8,000円 | 長所:強度が高い、継ぎ目なし、複雑な形状に対応、乾きやすい 短所:紫外線に弱い、伸縮性が低い、コストが高い |
ウレタン | 3,000~8,000円 | 長所:あらゆる下地に対応、複雑な形状に対応、比較的安価 短所:施工品質が業者依存、経年劣化による亀裂が発生しやすい |
塩ビシート | 3,500~8,000円 | 長所:耐久性が高い、継ぎ目なし、複雑な形状に対応 短所:紫外線に弱い、コストが高い |
ゴムシート | 2,500~7,000円 | 長所:強度が高い、継ぎ目なし、高温・低温環境でも性能を維持 短所:取り扱いが難しい、施工には高い技術が必要、コストが高い |
ベランダ防水工事における各工法は、それぞれ独自の特性を持っています。適切な防水工法を選ぶ際は、ベランダの状態や予算、期待される耐久性などを考慮に入れることが重要です。
ベランダ防水工事の費用が高くなる理由
ベランダ防水工事はさまざまな要因により、想定よりも費用が高くなる可能性があります。 費用が高くなる要因は以下の通りです。
1. 工法の選択
使用する防水工法によって費用は大きく異なります。例えば、FRP防水は高品質で耐久性がありますが、他の工法に比べてコストが高くなります。
2. ベランダの広さと状態
面積が広いベランダは、それだけ多くの材料が必要であり、作業も複雑になるため、費用が高くなります。また、ベランダの状況が悪い場合は、追加の補修工事が必要になることがあり、コストを増加させます。
3. 材料の質と種類
紫外線に強いトップコートなど、高品質な防水材料や特殊な機能を持つ材料を使用する場合、コストは上がります。
4. 労働力と工期
施工に必要な労働力と工期の長さも費用に影響します。短期間で複雑な工事を行う場合や、特殊な技術が必要な場合は費用が高くなります。
5. 作業難易度の高さ
高層階や狭い通路などベランダへのアクセスが困難な場合や、急な斜面に建っているなどの特殊な立地条件は、作業の難易度を高めます。
危険な作業も多くなるため費用が増加します。
6. 追加作業が必要な場合
既存の防水層の撤去や、排水溝の修理、手すりの設置など基本的な防水工事以外の追加作業が必要な場合は、追加費用がかかります。
これらの要因を考慮することで、ベランダ防水工事の見積もりがどのように決まるかを理解し、計画を立てる際の参考にすることができます。
お住まいの地域や施工業者により、費用は異なりますので実際に複数の業者から相見積もりを取り比較検討することも重要です。
あわせて読みたいベランダの防水性能を長持ちさせる方法
ベランダの防水性能を維持し、長持ちさせるには、日ごろのお手入れと定期的なメンテナンスが大切です。これを機にベランダの清掃、メンテナンスを習慣化させましょう。
1. 定期的に排水口を清掃する
ベランダの排水口は、砂、泥、落ち葉などのゴミが詰まりやすい部分です。これらの汚れが溜まるとうまく排水できず、溜まった水が防水層を劣化させる原因となります。
また、排水口に詰まった砂や泥に雑草などが根付くと、ベランダのコンクリート部分に損傷を与える可能性もあります。排水口の清掃は、最低でも3ヶ月に1度実施しましょう。ただし、ベランダ周辺に植物が豊富な場所や、ガーデニングを楽しんでいる場合は、清掃の頻度をさらに増やすことをおすすめします。
2. 定期的にトップコートを塗り替える
トップコートは、ベランダの防水層を紫外線や摩耗から保護するための塗料です。しかし、時間とともに劣化し、防護機能が低下します。トップコートは耐用年数を目途に定期的に塗り替える必要があります。
防水層の劣化が進行すると、大規模な防水リフォームが必要となります。定期的な清掃やトップコート塗装は、ベランダの防水工事にかかる費用を長期的に抑えることが可能です。
自宅のベランダに最適な防水工法の選び方
自宅のベランダへの防水工事を計画する際には、ベランダの現状と使い方をしっかり見極めることが重要です。ベランダの広さや形、既存の防水状態をきちんと把握するところからはじめましょう。また、ベランダをどのように活用するかによっても、適した防水方法が変わってきます。ベランダやバルコニーをどのように活用していくかについても考えたうえで、工法を選択しましょう。
ベランダの防水工事を成功させるには、プロフェッショナルの意見を取り入れることも大切です。専門家に相談することで、材料選びから施工の手順、費用の見積もりまでが明らかになります。工事に関する不安や疑問なども解消してから着工することで、後悔のないリフォームとなるでしょう。
まとめ
ベランダは日常生活で頻繁に利用するスペースです。しかし、ベランダが定期的な防水リフォームが必要なことは、意外と知られていません。 水はけが悪くなる、塗装の剥がれやヒビが目立ってきたら、それはベランダの防水性能が低下している証拠です。ベランダからの浸水が家の内部まで侵入すると、構造部に大きなダメージを与えます。こうしたサインが見られた場合にはいち早く、リフォームの専門家ファミリーグループにご相談ください。