アスファルトシングルとは?屋根材料の新選択、特徴やメリット・デメリットを解説
アスファルトシングルという屋根材をご存じでしょうか。
海外では一般的であり、特に北米では人気の屋根材です。
最近は日本でも、アスファルトシングルを候補に提案することが増えています。
屋根材として選ぶべきかどうか判断するためには、どのような素材でどういう特徴があるのか、アスファルトシングルを選ぶためのメリット・デメリットなどの基礎知識が必要でしょう。その上で実際にアスファルトシングルを選ぶべきかどうか、費用も含めて気になる点を詳しくご紹介します。
アスファルトシングルとは?
アスファルトシングルはアメリカで1903年に開発され、約100年前にカナダで製造が始まりました。アメリカやカナダでは、屋根の8割以上がアスファルトシングルであるほど定番の屋根材です。
日本やヨーロッパでは昔から粘土が原料である「瓦」が主流の屋根材でしたが、近年ではアスファルトシングルを検討し、選ぶことが増えています。
アスファルトシングルの屋根は、鮮やかな色合いや洋風なイメージが特徴です。
色砂でコーティングされたアスファルトシングル屋根は、カラーバリエーションが豊富でデザインを重視できることが、選ばれている大きな理由のひとつです。
さらに、軽量であり、防水性防雪性が高いのは、日本においては嬉しい特性でしょう。
アスファルトシングルは、ガラス繊維の基材にアスファルトを浸透・コーティングし、表面に石粒や色砂を吹き付け接着しています。フェルトからガラス繊維の基材に変更したことで防火機能が飛躍的に向上しました。
この20年ほどでアスファルトシングルの日本でのシェアが伸びているのは、「不燃性」が備わり、建築基準法にのっとった屋根材であることが認められたことも大きいでしょう。
北米の気候環境に耐えられる耐久性や、材質の品質向上、他の屋根材より安価なコストなど魅力があふれるアスファルトシングル屋根をぜひ検討してほしい屋根材です。
アスファルトシングルのメリット・デメリット
アメリカ映画にでてくる住宅は、アスファルトシングル屋根であることがほとんどです。憧れの建物と同じように…とアスファルトシングル屋根を選ぶ前に、ぜひメリット・デメリットについても理解しておきましょう。
ここからは、より具体的にアスファルトシングル屋根材について紹介しましょう。
アスファルトシングルの主なメリット
アスファルトシングルの屋根材には、以下のメリットがあります。
メリット | 内容 |
防水性に優れている | 屋根材のベースが防水シートと同じアスファルトを使用している 専用接着剤で下地材と留めているいるので、釘の孔とアスファルトが密着し漏水がほぼない |
防音性が高い | アスファルト表面に付着した石粒が緩衝材の役割となり音が響かない |
加工がしやすい | カッターやはさみでも切れる柔らかいシートのため、どのような屋根の形状にも合わせられる |
耐震性が高い | 重量が瓦の1/5、スレートの1/2でかなりの軽量である 建物に負担をかけないため地震に強い素材である |
コストが安い | 他の屋根材の1/2から2/3の本体価格なので、施工費を抑えることができる |
割れにくく、サビない | 柔らかく、金属を含まない素材である |
デザイン性に優れている | 建物のイメージに合わせて表面の砂粒の色を決めることが可能 |
アスファルトシングルの主なデメリット
より良い屋根材選びと対策方法を検討するためにアスファルトシングル屋根のデメリットをご紹介します。
デメリット | 内容 |
強風に弱い | 柔らかいシート状のため、施工が不十分であればあおられたり、飛ばされる可能性がある 強風の後は剥がれやめくれがないか確認が必要 |
表面の石粒が落下する | 経年劣化で石粒が落ちてくる可能性がある 雨樋などに石粒が溜まることもあるので注意が必要 |
苔や藻が生えやすい | アスファルトでコーティングし、石粒を吹き付けているため表面に凹凸があり水が溜まりやすい 美観が損なわれるので定期的なメンテナンスが必要 |
カビが発生しやすい | 素材自体が湿気に弱いためカビが生えやすい 放置しておくと屋根が劣化し雨漏りの可能性も |
屋根の勾配に不向きがある | 劣化を防ぐためにも水はけを重視しており、緩やかな勾配の屋根には向かない |
アスファルトシングルが向いているケース
上述のメリット・デメリットを踏まえて、アスファルトシングル屋根をおすすめするケースをご紹介します。
デザインの多様性を重視
瓦やスレート、金属屋根材では表すことのできないデザインやカラーバリエーションをアスファルトシングル屋根であれば実現できます。
また、シート状で加工がしやすい特徴があるアスファルトシングルなので、特徴のある屋根を実現したい場合にも良いでしょう。
軽量な屋根材を求める場合
地震大国日本であることを考えれば、屋根材として耐震性の強さでトップを誇るアスファルトシングル屋根は、どの地域でも需要は高いことは間違いありません。
高温多湿が少ない地域
台風の接近や通過が少ない、年間を通して日当たりが良い、などの気象条件があればアスファルトシングル屋根の劣化する条件を減らすことができ、おすすめできます。
初期費用をかけたくない場合
他の屋根材との比較でアスファルトシングルは安価であることははっきりしています。そのため、とにかく初期費用を抑えたい場合は選ぶべきでしょう。
地域に施工業者があるか
アスファルトシングルは、屋根材のシェアとして現在はかなり低いです。そのため、施工実績がある業者が少ないため、ノウハウがあるかどうか、見極めが必要です。
必要な時にすぐに対応できる業者が近くにある場合には、アスファルトシングル屋根を選んでも安心です。
アスファルトシングルの耐用年数とメンテナンスのサイン
ここからは、アスファルトシングル屋根の大まかな耐用年数とどのような場合にメンテナンスを検討するべきか見ていきましょう。
アスファルトシングルの耐用年数
以前は10-20年と言われてきましたが、最近では20-30年のアスファルトシングル商品も多数あります。商品ごとの耐用年数をしっかり確認することは重要です。
注意すべき点は、影響を与える気象条件や施工内容・取り付け品質、メンテナンスの有無などを総合してアスファルトシングルの耐用年数が変化することです。
アスファルトシングルのメンテナンスが必要なサイン
定期的なメンテナンスは「10年」ごとに必要と言われています。
補修やリフォームを検討するべきメンテナンスサインをご紹介します。
メンテナンスサイン | 内容 |
変色(色あせ) | 劣化症状のスタート地点 紫外線や雨風にさらされていることが原因 |
反りや浮き | 専用の接着材が劣化して起きる |
チョーキング | 塗料が浮き上がってきて、触ると白い粉状が付着する |
剥がれや膨れ | 塗料が経年劣化で機能を果たさなくなった状態 |
カビや苔・藻の発生 | 水洗いをしても色落ちしている可能性がある |
アスファルトシングルの補修・リフォーム方法と費用目安
アスファルトシングル屋根は、部分補修が他の屋根材に比べて可能であるという特徴があります。補修やリフォーム方法と一般的な費用をご紹介します。
方法 | 内容 | 費用 |
部分補修 | 接着材の剥がれがないか5年ごとに点検・補修をすることで長持ちにつながる | 数万円 |
塗装 | 水性塗料で2-3回上塗り | 30-60万円 |
葺き替え | 手で触って崩れるほどであれば全面葺き替えの方が良い | 120-170万円 |
カバー工法 | 下地材が問題なく、屋根材のみ新しくする場合に適している | 45-150万円 |
まとめ
アスファルトシングル屋根は、その特徴から多くのメリット・デメリットを持っていることをご理解いただけたでしょうか。
初期費用が安価になることは望ましいことですが、本当にそれだけで選んでよいのか、他の屋根材と比較検討するべきではないか、そもそも施工業者はあるのか、などご不安なことはまだまだあるかもしれません。 ファミリーグループでは、地域密着の施工業者として多くの建物に携わってきました。ご心配な点も含めて、点検・見積り・ご相談をお待ちしております。