太陽光パネルメーカー10社を比較!各社の特徴やメリット・デメリット、選び方のポイントを解説
太陽光発電は、環境に配慮したエネルギーを採用したいと考える多くの方々にとって興味深い選択肢です。しかし、初めて太陽光パネルを導入する際には、どのメーカーを選ぶべきか、どのような基準で選べばよいのか、といった疑問や不安がありますよね。
この記事では、人気の太陽光パネルメーカー10社を徹底比較しています。メーカーごとの特色や強み・弱みを理解し、ご自宅に最適なメーカーの太陽光パネルを選んでみて下さいね。
また、そのほかにも太陽光発電の基礎知識やメーカー選びのポイント、太陽光パネル選びでチェックしたい点などもご紹介しています。太陽光を設置するうえで知っておきたい知識として、ぜひそちらもご覧ください。
目次
太陽光パネルメーカーの重要性とは?
皆さんの中には「太陽光パネルなんてどこも同じじゃないの?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。
しかし結論から言えば、太陽光パネルはメーカーによって製造方法が異なる場合も多く、製造方法によって「発電効率」「耐久性」「重量」は大きく変わります。
メーカーの選び方による影響
太陽光パネルの発電効率は、メーカーの技術や素材の品質によって異なります。優れたメーカーは高効率のパネルを提供し、同じ面積でより多くの電力を生成することが可能です。
「太陽光発電を使って電気代を節約したい」とお考えの方やオール電化のご家庭については、発電効率に優れた太陽光パネルを提供しているメーカーを選ぶことがとても重要です。
またメーカーの品質管理や製造技術は、パネルの耐久性に直接影響します。良質なメーカーの製品は、長期間にわたって安定した性能を維持し、厳しい気象条件にも耐えることができます。
長期的なコスト面を重要視される方は、品質管理や製造技術に定評のあるメーカーを選びましょう。
メーカーの信頼性とパネル性能は重視すべき
メーカーを選ぶ際には、そのメーカーの信頼性や太陽光パネルの性能についても調べておきましょう。
信頼性の高いメーカーは、品質管理や製造プロセスにおいて厳格な基準を守り、安定した製品を提供しています。また信頼性が高く実績のあるメーカーでは保証が充実していて、故障が発生したときの費用負担が最小限で済むケースも多く見られます。
このように信頼性の高い太陽光パネルメーカーであれば、長期的に安心して利用できるでしょう。
一方、信頼性の低いメーカーの製品は、不具合や故障が頻繁に発生し、システムの運用に影響を与える可能性があります。ゆくゆくは修理や交換といったコストの増加にもつながる可能性があります。
なお、メーカーはもちろんのこと、太陽光パネルの選定において「性能」を重要視すべきことは言うまでもありません。発電時の最大出力や変換効率、太陽光パネルの重さといったスペックは必ずチェックが必要です。
「メーカー」と「太陽光パネル(製品)の性能」のどちらも重要であることを知っておけば、失敗を防げるでしょう。
おすすめの太陽光パネルメーカーは?各メーカーの特徴を比較!
太陽光パネルを販売しているメーカーにはさまざまな会社があり、それぞれ特徴や強みが異なります。
まずはメーカー各社の特徴を把握し、ご自宅にはどのようなメーカーが向いているかをチェックしてみましょう。
長州産業の特徴と評価
長州産業は日本の老舗太陽光パネルメーカーです。創業は昭和55年(1980年)、太陽光発電に携わること20年と太陽光パネルメーカーの中でも歴史が長く、国内に生産工場を所有している点が他のメーカーとの大きな違いです。
製品は比較的安価で販売されており、代表的なシリーズ(Gシリーズ)の変換効率は20.4%と高め。コストパフォーマンスに優れていることから、導入費用を気にされている方にもおすすめのメーカーとなっています。
なお、長州産業では出力保証、製品保証のほかに10年の「施工保証」が標準付帯しています。施工箇所に雨漏りが発生した場合も保証で対応してもらえるため、もしもの時でも安心です
【大まかな特徴】 ・国内工場を所有する老舗の太陽光パネルメーカー ・パネル価格は比較的リーズナブルでコスパに優れている ・施工保証などのサポートが手厚い 【どのような方におすすめ?】 ・コストを抑えて太陽光発電を始めたい人 ・保証などサポート体制を重視したい人 ・メイドインジャパンにこだわりがある人 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | 長州産業 |
型番 | CS-348G81 |
セルの種類 | ヘテロ接合(HIT) |
サイズ | 1,616×1,054×40mm |
質量 | 18.8kg |
公称最大出力 | 348W |
モジュール変換効率 | 20.4% |
出力保証期間 | 25年 |
製品保証期間 | 15年 |
kW単価(相場) | 13万円~ |
カナディアンソーラーの特徴と評価
カナディアンソーラーは2001年、カナダで創業した太陽光パネルメーカーです。同社の太陽光パネルは日本を含む160ヵ国で使用されており、大容量・変換効率の高さから人気となっています。
カナディアンソーラーの太陽光パネルは長方形タイプのみですが、近年の主力商品の「TOPHiKu6」は公称最大出力460W、変換効率22.5%とハイパワーな性能が魅力。黒ベースのセルカラーもスタイリッシュな印象です。
加えて、パネル自体にLID/LeTID低減技術(※)が用いられていて劣化率が最大50%低減されている点、製品保証期間が25年と他のメーカーに比べて長い点も大きな特徴です。
※太陽光パネルが熱や光によって性能が低下する現象を軽減し、変換効率を向上させる技術のこと
【大まかな特徴】 ・世界的シェアを誇る太陽光パネルメーカー ・パワフルで高い変換効率 ・耐久性を高める技術に加え、製品保証期間が長い 【どのような方におすすめ?】 ・出力、発電効率に優れた太陽光パネルを選びたい人 ・保証期間の長さを重視したい人 ・スタイリッシュな見た目の太陽光パネルを求めている人 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | カナディアンソーラー |
型番 | CS6.1-54TD-460 |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1800 ×1134×30mm |
質量 | 22.7 kg |
公称最大出力 | 460W |
モジュール変換効率 | 22.5% |
出力保証期間 | 30年 |
製品保証期間 | 25年 |
kW単価(相場) | 13~20万円 |
シャープの特徴と評価
言わずと知れた日本の企業「シャープ」。
シャープでは太陽光パネルの生産について独自の品質基準を設けている点が特徴。積雪や台風、豪雨など日本で増加している自然災害にも負けない耐久性を追求しています。
また、現在の主力製品「BLACKSOKAR」シリーズは、セル・構造部品を黒一色統一したデザインの美しさ、さまざまな屋根に対応できる形のバリエーションの豊富さが目を惹きます。
同シリーズのパネルの公称最大出力は形状により120~254Wと他社に比べると少なめですが、屋根の形状に合わせてより多くのパネルを設置しやすく、発電量を稼ぐことができます。
BLACKSOKARシリーズ以外では公称最大出力435Wのハイパワーモデル(NU-435PP)も販売するなど、製品バリエーションの豊富さはさすが大手といったところ。
隙間なく屋根に太陽光パネルを敷き詰めたい方にはおすすめのメーカーとなっています。
【大まかな特徴】 ・デザイン性と性能を兼ね備えたソーラーパネルが充実 ・台形パネルなど屋根の形にフィットしやすいパネルが揃っている ・大手企業ならではの保証の手厚さが魅力 【どのような方におすすめ?】 ・変換効率やパネルの品質を重視したい方 ・屋根の面積をフル活用してできる限り多くの電気を作りたい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | シャープ |
型番 | 単結晶シリコン |
セルの種類 | NQ-254BM |
サイズ | 1265×1055×46mm |
質量 | 16.5kg |
公称最大出力 | 254W |
モジュール変換効率 | 19.0% |
出力保証期間 | 20年 |
製品保証期間 | モジュール20年構成機器(パワコン等)15年 |
kW単価(相場) | 31万円 |
ハンファQセルズの特徴と評価
ハンファQセルズは、太陽光パネル内のセルのすき間をなくし高い変換効率を実現させるなど、高い技術力を持った太陽光パネルメーカーです。生産能力は世界トップクラスで、厳正な品質管理を行っているため安心して利用できます。
もともとドイツの「Qセルズ」という企業を韓国のハンファグループが買い取って生まれた会社で、住宅向け・事業向けそれぞれの太陽光パネルを生産しています。
低価格ながら天候に左右されず高効率で発電ができることや、質が良く軽量・高耐久のフレームなども高評価を得ています。
【大まかな特徴】 ・セル同士の隙間をなくし、高い変換効率が望めるパネルを販売している ・品質管理の徹底&生産能力の高さにより、常に高品質なパネルを提供 ・曇りの日のように低照度な条件下でも発電できる 【どのような方におすすめ?】 ・発電効率を優先させたい方 ・耐久性やパネルの品質にこだわりたい方 ・長期的なコストを減らしたい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | ハンファQセルズ |
型番 | Q.PEAK DUO M-G11 |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1692×1134×32mm |
質量 | 20.9kg |
公称最大出力 | 400W |
モジュール変換効率 | 20.8% |
出力保証期間 | 25年 |
製品保証期間 | 12年 |
kW単価(相場) | 20万円~ |
パナソニックの特徴と評価
日本有数の大企業であるパナソニックでは、高性能・高品質の太陽光パネルを提供しています。
もともとパナソニックでは異なる性質のシリコン同士を接合した「ヘテロ接合太陽電池(HIT)」が有名でしたが、その後2023年に発売された「MODULUS(モデュラス)」シリーズではさらに高い変換効率(21%/MS410α)を実現しています。
またMODULUSシリーズは耐久性が高く、長期安定的な発電性能が期待できる点も魅力。フレームが細く軽量なため、屋根への負担を気にされている方、外観の美しさにこだわりたい方にもおすすめです。
【大まかな特徴】 ・ハイパワーで高い変換効率を誇るパネルが充実 ・耐久性が高く長持ちしやすい ・フレームが細く比較的軽量な太陽光パネルを扱っている 【どのような方におすすめ?】 ・高い発電効率と品質の良さを求める方 ・太陽光パネルを長持ちさせたい方 ・屋根への負荷や外観のきれいさを重視したい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | パナソニック |
型番 | VBM410FJ03N |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1722×1134×35mm |
質量 | 21.5kg |
公称最大出力 | 410W |
モジュール変換効率 | 21.0% |
出力保証期間 | 25年 |
製品保証期間 | 15年 |
kW単価(相場) | 18万円~ |
エクソル(XSOL)の特徴と評価
エクソルは創業20年以上を誇る国内メーカーです。太陽光パネルの出荷実績は2023年5月時点で3GW以上。
変換効率の高い「単結晶シリコン」を使用した太陽光パネルが主力商品であり、変換効率の高さや、雨水や汚れが溜まりにくくなる「水切り加工」を施した設計に定評があります。
コンパクトタイプの太陽光パネルもあり、狭い面積の屋根でも効率的に太陽光発電が可能です。
また、最新モデルでは軽量で丈夫なアルミフレームが使用されたものもあり、重さが気になる方や耐久性を重視したい方にもおすすめのメーカーとなっています。
【大まかな特徴】 ・創業20年以上、販売実績が豊富な日本のメーカー ・変換効率が高く、より多くの発電ができる ・スタイリッシュなパネルデザイン 【どのような方におすすめ?】 ・価格より発電量の多さを重視したい人 ・見た目にもこだわりたい人 |
なおエクソルでは蓄電池システムやHEMS(ホーム・エネルギー・マネジメント・システム) 、太陽光パネル屋根のカーポート(サンレールポート)等も販売しています。合わせて導入することで、家全体の省エネ対策が実現するでしょう。
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | エクソル(XSOL) |
型番 | XLN120-480S |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1903×1134×30mm |
公称最大出力 | 480W |
モジュール変換効率 | 22.24% |
出力保証期間 | 30年 |
製品保証期間 | 12年 |
kW単価(相場) | 16万円~ |
ネクストエナジー・アンド・リソースの特徴と評価
ネクストエナジー・アンド・リソースは、高温環境でも高い発電効率を実現できる太陽光パネルを開発・販売している国内メーカーです。
本社は長野県にあり、代表的な製品である「NER108M410B-MD」では高温時でも安定したパフォーマンスを発揮するハーフカットセルを採用。「バスバー」を11本に増やすなどの工夫により、公称最大出力410Wと大容量でありモジュール変換効率も20.9%と高い水準を誇ります。
kW単価は他メーカーに比べてやや高めで長方形タイプのみのラインナップとなっている一方、発電効率の良さを求める方にはおすすめのメーカーといえるでしょう。
【大まかな特徴】 ・発電効率が高くより多くの電気が生み出せるパネルを開発 ・高温でも高いパフォーマンスが見込める ・スタイリッシュな黒ベースのパネルデザイン 【どのような方におすすめ?】 ・発電効率を重視したい方 ・設置できる面積が狭い方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | ネクストエナジー・アンド・リソース |
型番 | NER108M410B-MD |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1722(±3)×1134×30mm |
質量 | 21.5kg |
公称最大出力 | 410W |
モジュール変換効率 | 20.9% |
出力保証期間 | 25年 |
製品保証期間 | 12年 |
kW単価(相場) | 22万円~ |
ソーラーフロンティアの特徴と評価
ソーラーフロンティアは産業用、住宅用両方の太陽光パネルを開発・販売している国内メーカーです。有名な「出光」グループの経営基盤を活かし、これまでに豊富なノウハウを構築してきた信頼性があります。
代表モデル「SFA405-120C」は公称最大出力405Wのパワフルさ、シンプルな外観が魅力です。
パネルの重量がやや重めな点や面積あたりの発電量は他社に劣る一方で、国内メーカーの中では低価格になる場合が多く、比較的リーズナブルに設置できる点もメリットといえるでしょう。
【大まかな特徴】 ・出光グループで太陽光パネルのノウハウと実績が豊富なメーカー ・保証期間が長く、公式サイトに修理・交換費用の目安が掲載されていて安心 ・スタイリッシュなデザインのパネルが比較的安価で導入できる 【どのような方におすすめ?】 ・コストパフォーマンスを重視したい方 ・保証の手厚さを重視したい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | ソーラーフロンティア |
型番 | SFA405-120C |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1,754×1,096×30mm |
質量 | 21.3kg |
公称最大出力 | 405W |
モジュール変換効率 | 要問い合わせ |
出力保証期間 | 25年 |
製品保証期間保証期間 | 10~15年 |
kW単価(相場) | 15万円~ |
京セラの特徴と評価
国内大手メーカーの京セラは、1993年に日本初の住宅用太陽光発電システムを販売した実績のあるメーカーです。住宅用・産業用ともに高性能・高効率なパネルメーカーとして定評があります。
京セラの太陽光パネルは太陽電池セルを「高耐久封止剤」でサンドイッチし、さらに両面をガラスでコーティングした構造が特徴。
水分の侵入による出力低下を低減し、長期間にわたって多くの発電量が得られる「長寿命太陽光パネル設計」のため、耐久性を重要視される方におすすめです。
積雪や風によるパネルの曲がり、歪みにも強く、豪雪地域や台風の多い地域の設置でも安心です。
ちなみに京セラが1984年に千葉の自社事業所に設置した太陽光パネルは、36年後(2021年)時点で出力低下率が17.2%であったとのデータがあり、耐久性の高さが伺えます。
なお、京セラではベーシックラインの「エコノルーツ」のほか、複雑な形状の屋根に対応できる「ルーフレックス」などの太陽光パネルも提供しています。
【大まかな特徴】 ・国内で初めて住宅用太陽光発電システムを販売するなど古くからの実績が豊富 ・水分による劣化や積雪・風に強く、耐久性に優れている ・防汚切り欠きなどパネルに汚れが溜まりにくい加工を施している 【どのような方におすすめ?】 ・耐久性を重要視する方 ・国内大手メーカーにこだわりたい方 ・複雑な形状の屋根に太陽光パネルを設置したい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | 京セラ |
型番 | KT410W-108HL4B |
セルの種類 | 多結晶 |
サイズ | 1722×1134×35mm |
質量 | 25.4kg |
公称最大出力 | 410W |
モジュール変換効率 | 21.0% |
出力保証期間 | 20年 |
製品保証期間 | 10年 |
kW単価(相場) | 35万円程度 |
マキシオンの特徴と評価
マキシオンはアメリカを拠点に太陽光パネルの販売を行っているグローバルメーカーです。日本においても人気がありますが、その特徴は何といっても製品・出力ともに業界最長の40年保証が受けられる点です。
製品保証については他のメーカーなら10年~25年の保証が一般的であり、出力保証も20~30年程度設けている場合が多いことを考えると、40年というのは実に驚異的です。
パネルの修理・交換についても他メーカーに比べて幅広い範囲をカバーしているため、メンテナンス・修理コストを抑えたい方には特におすすめのメーカーといえるでしょう。
公称最大出力が400W、モジュール変換効率が22.6%、質量は19kgと、太陽光パネル自体のスペックも優秀です。長方形のパネルしかない点が難点ではありますが、長期的なコストパフォーマンスを重視される方に適したメーカーといえるでしょう。
【大まかな特徴】 ・外国メーカーだが、世界各国に展開していて日本法人でサポートが受けられる ・製品、出力保証が業界最長の40年でサポートが手厚い ・パネル自体のスペックも優秀で効率的に発電ができる 【どのような方におすすめ?】 ・保証の手厚さを重視される方 ・長期的なコストを極力抑えたい方 ・シンプルな形状の屋根に太陽光パネルを設置したい方 |
【代表的な商品のスペック】
メーカー名 | マキシオン |
型番 | SPR-MAX3-400 |
セルの種類 | 単結晶シリコン |
サイズ | 1,046×1,690×40mm |
質量 | 19kg |
公称最大出力 | 400W |
モジュール変換効率 | 22.6% |
出力保証期間 | 40年 |
製品保証期間 | 40年 |
kW単価(相場) | 22万円~ |
そもそも太陽光発電とは?
太陽光発電とは、太陽電池を多数搭載した「太陽光パネル」で電気を生み出すことを指します。個人単位では新築住宅だけでなく、既存住宅へ太陽光発電システムを追加するご家庭も増えています。
日本ではカーボンニュートラルを推進する動きが年々加速しており、2021年、「2030年時点で新築戸建て住宅の6割に太陽光発電設備の搭載を目指す」との閣議決定が行われています。
また国や自治体では、太陽光発電等の省エネ設備の設置に対する補助金制度を実施するなど、さまざまな支援措置が行われています。
太陽光で電気をつくるしくみ
太陽光発電に欠かせないのが「太陽光パネル」です。
太陽光パネルはソーラーパネル、モジュールとも呼ばれるもので、一面に太陽電池が敷き詰められています。この電池というのは単三電池などの電力を蓄えるものとは異なり、太陽光のエネルギーを電力に変える「発電機」の役割を果たします。
画像引用:【図解つき】太陽光発電の仕組みを初心者向けにわかりやすく解説! – EV DAYS | EVのある暮らしを始めよう
【太陽光発電のプロセス】 1.太陽光パネルに太陽光が当たる 2.太陽電池で「光電効果」が起こる 3.n型半導体に「電子」、p型半導体に「正孔/せいこう」が集まる 3.パネル内でプラス極とマイナス極が形成される 4.電気の流れが発生する |
太陽電池は、太陽の光を受け取ると「光電効果」という現象が起こります。光電効果とはわかりやすく言うと「特定の物質に光が当たったとき、電子が飛び出す」という現象です。
少し専門的な話にはなりますが、もともと太陽電池は、n型半導体とp型半導体の2種類の半導体を組み合わせて作られています。
太陽光パネルに光が当たると、n型半導体にはマイナスの電荷(電子)が、p型半導体にはプラスの電荷(正孔/せいこう)が集まり、電流が導線に沿って流れるようになります。
このような仕組みにより、太陽光は電気エネルギーに変換されているのです。
【パワーコンディショナーについて】 太陽光発電によって生み出された電気(直流電気)はそのままでは家庭で使用できません。太陽光で発電した電気をご家庭で使える電気にするには、「パワーコンディショナー(パワコン)」という変換器を使って交流電気へ変換する必要があります。 パワーコンディショナーは太陽光パネルと同じくらい重要な設備であり、性能・変換効率は製品ごとに異なります。どのようなパワーコンディショナーを選べばよいか分からない方は、太陽光パネルの選定と合わせて施工業者に相談してみましょう。 |
太陽光発電のメリット・デメリット
太陽光発電をするメリット・デメリットは以下のとおりです。
【メリット】
・電気代の節約につながる
・蓄電池と組み合わせれば非常電源としても活用できる
・燃料がいらず、太陽光さえあれば発電ができる
・発電時に有害物質を発生させず、環境にやさしい
【デメリット】
・導入するために初期費用がかかる
・発電量が天候や日照量に左右される
・太陽光のない夜間は発電ができない
・屋根の形状によって設置できるパネル量が限られる
メリット
個人単位で見たときの最大のメリットは「電気代の節約につながる」という点でしょう。
通常、私たちが電気を使う場合は、電力会社が発電した電気を“買って”使うことになります。しかし、太陽光発電で電気を作って自家消費できれば、買って使う電気の量を減らすことができます。結果として毎月、毎年かかる電気代の節約につながるでしょう。節約効果は作った電気を溜めておける「蓄電池」を導入するとさらに高まります。
また、常時太陽光発電を行いつつ蓄電池に電気を溜めておけば、停電したときの非常用電源としても使えます。太陽光発電は送電機能がストップした時の災害対策としても有効なのです。
そして石油や石炭などを使った火力発電とは異なり、太陽光は無尽蔵にあるエネルギーです。また発電時に二酸化炭素などの物質を発生させないため、空気を汚すこともなく、地球環境に配慮しながら電気を生み出すことができます。
デメリット
一方、デメリットとしては導入コストがかさみやすいこと、発電量が天候や時間帯に左右されやすいことなどが挙げられるでしょう。
特に夜間は発電ができないため、蓄電池を併用しない場合は電力会社から電気を購入して使用する必要があります。
また、個人住宅の場合、設置できるパネルの数が屋根の形状・広さによって大きく変わる点にも注意が必要です。屋根の形状によっては少ないパネルしか設置できず、思ったような発電量が得られない可能性もあります。
太陽光パネルの設置数や発電量についてご不安な場合は、一度施工業者に相談してシミュレーションしてもらうと安心です。
太陽光パネル・メーカーを比較するときの7つのポイント
太陽光パネルのメーカーを比較する際には、メーカーの特色と「パネルの性能」に注目することが重要です。
あらかじめ丁寧に比較検討すれば、「別のメーカーにしておけばよかった」という後悔を防ぐことができます。
具体的には以下の7つのポイントをチェックしておきましょう。
1.価格(kW単価)と長期的なコスト
太陽光発電メーカーを比較検討するうえで重要なポイントに「kW単価」が挙げられます。
kW単価とは「太陽光パネル1kWにつき何万円で設置ができるのか」を示した価格です。
kW単価が安ければ安いほど導入費用が低くなりますし、太陽光発電でモトが取れるまでの期間も短くなります。
仮に同じスペック(発電効率)でそれぞれkW単価が異なるメーカーの太陽光パネルを設置したと仮定した場合、回収期間は以下のように大きく変わることがわかります。
A社 | B社 | C社 | |
kW単価 | 5万円 | 10万円 | 15万円 |
5kW分導入した場合の費用 | 25万円 | 50万円 | 75万円 |
ひと月あたりの電気代の削減量 | 5,000円 | 5,000円 | 5,000円 |
初期費用回収までの期間 | およそ4.2年 | およそ8.3年 | 12.5年 |
回収期間中はあくまでも「コストの埋め合わせ」にしかならない一方、回収が終わったあとは直接的な電気代の節約につながります。 要するに、回収期間が早ければ早いほど家計にとってはおトクというわけです。 |
ただし、kW単価が安くても、耐久面で不安があるメーカー、保証期間が短いメーカーなどは長期的に見たコスト(修理・部品交換など)がかさみやすくなる可能性があります。
「設置費用が安い」という短期目線だけではなく、長期目線で見てコストが抑えられるかどうかもシミュレーションしてメーカーを決定しましょう。
2.モジュール変換効率
太陽光のエネルギーを電気に変換する効率を「変換効率」といいます。
変換効率はパーセンテージ(%)で表示されており、人気メーカーでは18~21%の製品が主流となっています。同じ太陽光エネルギーの量でも、変換効率が高くなるほどより多くの電気が生み出せます。
太陽光パネルの変換効率は製品・メーカーによってさまざまです。より具体的に言えば、後述する「パネルの素材」によっても変化します。
変換効率の高い太陽光パネルはより多くの電気を生み出せる一方、導入コストは高くなる傾向にあります。ただし、初期費用の回収期間を過ぎたあとは電気代の節約につながりやすいという利点もあります。
屋根の形が特殊な住宅や、設置スペースが狭い住宅では設置できる太陽光パネルの数に限りがあります。これらの住宅では、少ない面積で多くの電気が生み出せるように、変換効率の高い太陽光パネルを設置することをおすすめいたします。 |
3.太陽光パネルの素材
太陽光パネルの変換効率は、パネルの素材によって異なります。
太陽光パネルの素材は主に以下の4種類です。変換効率が優れているのが「単結晶シリコン」「ハイブリッド型」で、価格の安さは「多結晶シリコン」「CIS」が優れています。
パネルの素材 | 変換効率 | 価格 | 特徴 | 高温時の変換効率 |
単結晶シリコン | 高い | 高い | 一般的な太陽光パネルの素材 | 低下しやすい |
多結晶シリコン | 低い | 安い | 多く流通している | 低下しやすい |
ハイブリッド型 | 高い | 高い | 耐熱性が高い | 低下しにくい |
CIS/SIGS薄膜 | 低い | 安い | 日陰や曇りの日に強い | 低下しにくい |
変換効率の高い素材の太陽光パネルは初期費用も高くなる一方、将来的により多くの電気を生み出せるため、電気代の節約効果も高くなります。
また年間を通じて日照量が少ない地域では、CISのように日陰や曇りが多くても発電しやすい素材を選ぶのも良い選択です。
お住まいの地域の気候や予算、長期的なリターンを考慮したうえで素材を選ばれるとよいでしょう。
4.耐久性
太陽光パネル、およびメーカーを選ぶ際には耐久性もチェックしましょう。耐久性はカタログなどに記載されています。
太陽光パネルの耐用年数は20~30年といわれています。
しかし太陽光パネルは屋外に設置するため、設置後は風や雨、雪や潮風に晒され続けており、耐久性の低い太陽光パネルは劣化が早まる可能性があります。耐久性の高い太陽光パネルを選べば、より長く多くの電気を作り出せるでしょう。
なお。チェックする際の基準としては、JIS規格に準拠しているかどうか(高温・高湿試験や温度サイクル試験にクリアしているか)を見るとよいでしょう。
5.太陽光パネルの重さと大きさ、形状
太陽光パネルはメーカーや製品によって重さが異なります。屋根の設計や素材によっては、設置できる太陽光パネルのメーカー・製品に制限が生じる可能性があるため、どの程度の重さなら設置できるかを必ず確認しておきましょう。
また太陽光パネルには小さなものから大きなもの、細長いものなど、さまざまなサイズ・形状があります。メーカーによっては長方形タイプしか販売していないケースもあるため、設置したい場所に合うかどうかを確認しておきましょう。
6.導入後のサポート体制(保証)
太陽光パネルには出力(%)を保証する「出力保証」、製品の故障・不具合時に修理や交換をしてもらえる「製品保証」などがあります。
保証期間の長さはメーカーによっても異なります。中には保証期間を有料で延長できるメーカーや、周辺機器(パワーコンディショナー等)も保証範囲に含んでいるメーカーもあるため、保証内容と期間、範囲については必ず事前にチェックしておきましょう。
7.メーカーの実績
太陽光パネルを設置する際には、メーカーの実績にも注目しましょう。一般的に販売実績が多く、シェアが大きいメーカーは高い技術を駆使した太陽光パネルを開発しているケースが多いです。
また太陽光発電システム関連の補助金では「所定の機関に認定されたメーカー・製品のみ補助対象」というケースが多いですが、高い実績を持つメーカーの製品は補助対象製品となっている傾向が強いのが現状です。
補助金・助成金を活用して太陽光パネルを設置したいとお考えの場合は、メーカーの実績や市場シェアも考慮されることをおすすめします。
自宅に合った太陽光パネルの選び方!考えるべきポイントは?
太陽光パネルのメーカーや製品の候補が絞れたら、次は「自宅に合った太陽光パネルはどれか」を考えていきましょう。チェックしておくべきポイントは以下の4つです。
予算やニーズに合わせて選ぶ
太陽光パネルを導入する際には、まずご自身が考えるご予算やニーズ(目的)に合わせて選ばれることをおすすめいたします。
太陽光パネルは高性能(高効率)であるほど発電量も多く、高機能かつ耐久性の高い製品であれば長く利用できます。しかしこれらのような製品は初期費用が高くなりがちです。
実際のところ、「いくらかけてもいいので高性能な太陽光パネルを設置したい」というご家庭は多くありません。現実的には太陽光発電システムにかけられる予算が決まっていて「○○万円までなら出せるが、それ以上は難しい……」というご家庭がほとんどではないでしょうか。
補助金や助成金を活用したとしても、太陽光パネル・発電システムを設置するには数十万円の費用がかかります。また最適な太陽光パネルの性能・量は、家族の人数や目的(電気代を少し減らしたい、蓄電池と併用して非常時に備えたい)によっても大きく変わります。
まずは「これぐらいまでなら出せる」という予算を決めるとともに、どんな目的で太陽光パネルを設置するのかを明確にするようにしましょう。そのうえでパネルを選べばムダがありません。
住んでいる場所や気候に合わせて考える
太陽光発電システムを設置する際には、お住まいの場所や気候特性に合わせてパネルを選ぶことも重要です。
たとえば年間の日照時間が少ない地域では「日照が低い時間でも発電できる太陽光パネル」を選ぶことでより多くの電気を作れます。また積雪の多い地域なら、積雪の重さに耐えられる耐久性の高い太陽光パネルを選ぶ必要があるでしょう。
年間の気温が高い地域であれば、高温に強い素材の太陽光パネルを選ぶことで発電量の低下を防げます。
保証期間の長さを確認する
太陽光パネルの保証期間は製品によって異なり、一般的には10~25年間に設定されています。またパワーコンディショナーや架台などの周辺機器は、5~10年間の保証が一般的です。
なお、メーカーによってはパネルに対し最長40年の保証がついている場合もあります(マキシオンソーラー)。長期運用を想定して設置したい方は、できるだけ保証期間が長い製品を選びましょう。
太陽光パネルの形とサイズが屋根に合うか確認
太陽光パネルを設置する際には、ご自宅の屋根の形状に合ったサイズ、形の太陽光パネルを選ぶことが重要です。
太陽光パネルは設置面積が多くなるほど発電量も増えます。「自家消費して電気代を極力抑えたいので、たくさん設置したい」という場合は、“いかに隙間なくパネルを乗せるか”が重要なポイントになります。
太陽光パネルは長方形タイプが基本ですが、台形の屋根に設置するとスペースのムダが生まれることも。メーカーによっては屋根にフィットする細方タイプ、台形タイプの太陽光パネルを販売しており、活用することでより多くのパネルを設置できるようになります。
太陽光パネル選びでよくある質問
Q1: 太陽光パネルの「ハーフカットセル」とは?
A:太陽光パネルは「セル」と呼ばれる小さな太陽電池を敷き詰めてパネルにしたものを指します。そしてハーフカットセルとは、従来のセルの大きさを半分に分けたセルのことです。
ハーフカットセルは従来の大きさのセルに比べて発電時の温度が上がりにくく、発電ロスを軽減したり、高温環境の発電能力を向上させられるメリットがあります。
Q2: 太陽光パネルの寿命はどのくらいですか?
A: 一般的に、太陽光パネルの寿命は約20~30年です。
ただし、メーカーや製品、設置環境によって異なりますので、あくまでも目安と考えておきましょう。
Q3: 太陽光パネルの価格は高いですか?
A: 太陽光パネルの価格(kWあたりの設置単価)は以前よりも大幅に下がっており、設置コストも低くなっています。
また太陽光パネルの設置を対象とした費用補助制度を利用すれば、設置コストを軽減されることも可能です。実際のコストは状況により異なりますので、施工業者へ相談されることをおすすめします。
Q4: メンテナンスは必要ですか?
A: 太陽光パネルを設置する場合、年1~2回程度のメンテナンスが必要です。パネルの清掃、配線の点検などを行い、異常がないかをチェックします。
適切なメンテナンスを続けることで発電効率を最大限に保ち、長期間にわたって安定した発電を維持することができます。太陽光パネルメーカー、または専門の資格・知識を持つ施工業者に依頼し、定期的にメンテナンスを行いましょう。
Q5: 雨や雪の日でも発電しますか?
A: 太陽光パネルは雨や雪の日でも発電しますが、天候によって発電量は変動する点に要注意です。降水や積雪により一時的に発電が低下することもあります。
Q6: 太陽光パネルの設置場所はどこが適していますか?
A: 南向きの屋根や地面が広く開けた場所が最適です。日中に直接太陽光が当たる場所に設置することで、最大効率で発電ができます。
Q7: 太陽光パネルの変換効率はどのくらいですか?
A: 太陽光パネルの変換効率(太陽光を電気に変える力のこと)は、一般的に18~21%の範囲です。今後、最新の技術を採用した高性能なパネルが登場すれば、より高い効率が実現される可能性もあります。
Q8: 電気代はどれくらい節約できますか?
A: 太陽光パネルの導入によって、家庭の電気代が大幅に削減される可能性があります。具体的な節約額は、使用量や設置されるパネルの容量によって異なります。
また、蓄電池を併用すれば発電ができない夜間の電気をまかなったり、災害や停電時などの非常用電源としても活用できて便利です。
Q9: 太陽光パネルの廃棄はどうすればいいですか?
A: 不要になった太陽光パネルは素材ごとに分けられリサイクルされます。また太陽光パネルの廃棄には法律で決められたルールを守る必要があります。
近年はリサイクル技術の発達や適切な処分方法により、環境への負荷を最小限に抑える工夫が行われています。
Q10: 太陽光パネルを設置するとき、補助金は利用できる?
A: 一部の自治体では太陽光パネルを含む「太陽光発電システム」の設置で補助金・助成金が利用できる場合があります。
たとえば東京都では新築住宅・既存住宅に太陽光発電システムを設置する場合、該当する補助金制度を利用することで設置費用の一部を補助してもらえます。(参考:東京都環境局の公式サイト)
補助・助成制度には申請期間などの規定が設けられているため、まずはお住まいの自治体(都道府県や市区町村)に確認されることをおすすめします。
あわせて読みたいまとめ
太陽光パネルの選び方は発電効率に大きく影響を及ぼします。より多くの電気を生み出すためには、発電効率や性能を考慮して適切なメーカー、および製品を選ぶことが重要といえるでしょう。
東京都足立区のファミリーグループでは、各太陽光パネルメーカーの特徴や強みを把握したスタッフが多数在籍しております。お客様のニーズや屋根の形状に応じて最適な太陽光パネル・メーカーをご提案させていただきますので、初めて太陽光パネルを設置される場合でも安心です。
足立区周辺にお住まいで、かつ太陽光パネルやメーカー選びで迷っていらっしゃる方は、ファミリーグループへぜひお気軽にご相談下さい!
- 監修者
- 大久保 洋司
Director
【保有資格】
一級建築士
監理技術者
マンションリフォームアドバイザー
既存住宅状況調査技術者
既存住宅アドバイザー
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約30年と経験豊富な建築士です。
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