耐震補強工事とは?基礎知識や費用相場、助成金制度を解説
日本は地震が頻繁に発生する国であり、特に南海トラフ地震のような大規模な地震がいつ起こるか分からないという不安があります。このような状況だからこそ、建物の耐震補強工事はとても重要です。ここでは、耐震補強工事の基礎知識や費用、助成金制度について詳しくお伝えします。
目次
耐震補強工事とは?
耐震補強工事は、建物や構造物の地震に対する耐震性を高めるための工事です。地震が発生した際に建物の損傷を防ぎ、人命を守るために欠かせない対策です。具体的な作業内容には、建物の強化、補強材の追加、地盤改良、構造部品の交換などが含まれます。
耐震補強工事は、法的規制に基づいて実施され、専門家による設計と施工が必要です。地震が頻繁に発生する日本では、建物の安全性を確保するために耐震補強工事が頻繁に行われています。建物の耐震性を向上させることで、地震による被害を最小限に抑えることができます。
この工事は、家族の安全を守るためだけでなく、建物の資産価値を維持するためにも重要です。地震対策をしっかりと行うことで、安心して暮らせる住環境を実現しましょう。
耐震補強とは?
耐震補強は、既存の建物や構造物の地震に対する強度や耐震性を向上させる工事や措置です。特に古い建物や地震のリスクが高い地域では、非常に重要な対策となります。耐震補強の目的は、建物の構造を改善し、地震の際に建物の崩壊や大きな損傷を防ぐことです。具体的には、補強材の追加、柱や梁の強化、基礎の改良などの方法があります。
耐震診断とは?
耐震診断は、建物や構造物の現在の地震耐性を評価するプロセスです。専門家が建物を詳しく調査し、その構造や材料の状態、地盤条件を評価します。地震に対するリスクを判定し、どの程度の耐震性があるのか、そしてどのような補強工事が必要かを明らかにします。
耐震診断の結果をもとに、建物のオーナーや管理者は具体的な対策を立てることができます。「うちの家、大丈夫かな?」と不安に思っている方は、まずは耐震診断を受けることをおすすめします。診断結果に基づいて適切な補強工事を行えば、安心して暮らせる住まいを実現できます。
耐震補強が必要な築年数の目安
日本では、地震に強い家を作るために「耐震基準」というルールがあります。ここでは、耐震補強が必要な築年数の目安と旧耐震基準との関係について説明します。
旧耐震基準とは?
1981年(昭和56年)以前に建てられた家の多くは、この旧耐震基準に従って建てられています。この基準は、地震が起きたときに家が倒れないようにすることが主な目的でしたが、現在の基準と比べると、地震に対する強さが不十分なことが多いです。
新耐震基準とは?
1981年以降に導入された新しい耐震基準です。この基準では、家が地震の揺れに強く、被害を最小限に抑えることが目的とされています。新耐震基準に従って建てられた家は、旧耐震基準の家よりも地震に対して強く作られています。
耐震補強が必要な築年数の目安
築40年以上
1981年以前に建てられた家(築40年以上)は、旧耐震基準に基づいているため、耐震補強が必要なことが多いです。これらの家は、大きな地震が来たときに倒壊するリスクが高いので、耐震診断を受けて補強工事を検討することが重要です。
築40年未満
1981年以降に建てられた家(築40年未満)は、新耐震基準に基づいているため、地震に対する耐性は比較的高いです。しかし、築年数が経過するにつれて、家の劣化や地盤の変化などが起こることがあります。そのため、定期的な点検と必要に応じた補強工事を行うことが望まれます。
あわせて読みたい一般的な木造住宅の耐震補強方法
一般的な木造住宅の耐震補強には主に以下の方法があります。
壁を強くする
家の壁を強くすることで、地震の揺れに耐えられるようにします。具体的には、壁の中に鉄の棒や金属製の補強材を入れたり、強い材料で壁を作り直したりします。これによって、家全体がしっかりと支えられます。
基礎を強くする
家を支える土台の部分(基礎)を強化する方法です。基礎を強くすることで、家が地面からの揺れに耐えやすくなります。例えば、基礎にコンクリートを追加したり、鉄筋を入れて補強したりします。
柱と梁を強くする
家の骨組みとなる柱や梁を強化します。柱や梁が強くなると、家全体の耐震性が高まります。具体的には、柱に金属のプレートを取り付けたり、梁を太くしたりします。
接合部を強くする
家のパーツ同士がしっかりとつながるように、接合部を強化します。これによって、地震の揺れで家のパーツがずれたり外れたりしにくくなります。金具やボルトでしっかりと固定することが一般的です。
耐震補強材の利用
軽くて強い材料を使って家を補強します。例えば、カーボンファイバーや特殊なパネルを使うことで、家全体の強度を高めることができます。
屋根の軽量化
屋根材を軽いものに交換することで、地震時の揺れを減らし、建物の倒壊リスクを低減します。例えば、重い瓦屋根を軽量な金属屋根やスレート屋根に変えることで、建物全体の重心が低くなり、揺れに強くなります。
これらの補強方法を組み合わせることで、木造住宅の耐震性を大幅に向上させることができます。
あわせて読みたい免震と制震の違い
免震と制震は、地震時に建物の揺れを制御し、被害を軽減するための耐震技術です。それぞれの違いを説明します。
免震とは?
免震技術は、建物を地震の影響から切り離す方法です。建物は基礎の下に設置された免震装置(例えば基礎断熱材)に支えられ、地震が起きた時に地盤の揺れを受けにくくなります。
特徴
免震によって、建物は直接的な地震の影響を受けず、振動が大幅に低減されます。これにより、建物内部の被害を最小限に抑えることができます。
使われる場所
主に高層ビルや大規模な建築物に使われます。特に長周期の揺れに対して効果的です。
コスト
免震技術は高コストで、建設および保守が複雑です。専門的な知識も必要です。
制震とは?
制震技術は、建物に制震装置(ダンピング装置)を取り付けて、地震の振動エネルギーを吸収・制御する方法です。制震装置は摩擦、粘性、ばねなどを組み合わせて作られています。
特徴
制震は振動エネルギーを吸収・制御し、地震の影響を緩和します。建物の振動を制限することで、被害を抑えます。
使う場面
ほとんどの建物に使えます。特に耐震性を向上させるために使われます。
コスト
制震技術は免震よりも費用が抑えられ、設置も比較的簡単です。
住みながら耐震工事はできる?
地震対策は大切ですが、場合によっては住みながら工事をすることも可能です。ここでは、生活に大きな影響を与えずに行える耐震工事の方法をご紹介します。
部分的な補強工事
家全体を一度に補強するのではなく、部屋ごとやエリアごとに分けて工事を進める方法です。例えば、まずリビングを補強し、次に寝室を補強する、といった具合に段階的に行います。これにより、工事中も生活スペースを確保しやすくなります。
内部補強
家の内部で行う補強工事です。例えば、壁の中に補強材を追加したり、柱や梁を強化したりします。この方法は、外部に影響を与えにくく、工事中も比較的普段通りの生活ができます。
外部補強
家の外側で行う補強工事です。外壁に補強材を追加したり、基礎部分を強化したりします。外部での工事なので、家の中での生活にはあまり影響がありません。
短期間で行う工事
耐震補強工事には、短期間で完了するものもあります。例えば、数日から1週間程度で終わる工事を選ぶことで、生活への影響を最小限に抑えることができます。
耐震補強工事の費用相場
耐震補強工事の費用は、部分補強で10万円から、全体補強で100万円からと内容によって大きく変わります。ここでは、新耐震基準の建物と旧耐震基準の建物における耐震補強工事の費用相場について解説します。
新耐震基準の建物における費用相場
新耐震基準の建物は、1981年以降に建てられた建物で、旧基準の建物に比べて地震に対する耐性が高いです。しかし、それでも追加の安全対策や部分的な補強が必要になる場合があります。
一戸建て住宅
部分補強の費用相場: 50万円から200万円以上
全体補強の費用相場: 100万円から500万円以上
補修費用相場: 10万円から100万円以上
地理的位置
新耐震基準の建物でも、地震リスクの高い地域では、補強工事の費用が高くなることがあります。地域ごとの地震リスクに応じて費用が変動します。
建物の年数
新耐震基準の建物でも、築年数や状態によって補強工事の費用は変わります。建物が古くなり、劣化が進んでいる場合には、補強費用が高くなることがあります。
旧耐震基準の建物における費用相場
旧耐震基準の建物は、1981年以前に建てられた建物で、地震に対する耐性が新基準に比べて低いです。耐震補強が必要な場合が多く、費用も高くなりがちです。
一戸建て住宅
部分補強の費用相場: 50万円から300万円以上
全体補強の費用相場: 200万円から800万円以上
補修費用相場: 20万円から150万円以上
地理的位置
旧耐震基準の建物でも、地震リスクの高い地域では、補強工事の費用が高くなることがあります。地域ごとの地震リスクに応じて費用が変動します。
建物の年数
旧耐震基準の建物は築年数が長いため、劣化が進んでいる場合が多く、補強工事の費用が高くなることがあります。特に、基礎や構造部分の補強が必要な場合には、費用が大きくなることがあります。
耐震補強工事に活用できる補助金や減税制度
住宅の耐震補強を行う際には、「補助金制度」やさまざまな「税制優遇」を活用することができます。ここでは、耐震補強工事に利用できる補助金制度や税制優遇制度についてご紹介します。
耐震補強工事に活用できる補助金
耐震補強工事には、国と地方自治体から助成金制度が設けられています。 制度内容は自治体によって異なりますが、一般的には以下の2種類があります。
耐震診断補助金
耐震診断の費用の一部を補助金で賄うことができます。 診断結果に基づき、耐震改修工事が必要と判断された場合、さらに耐震改修工事の補助金を受けられる制度もあります。
耐震改修工事補助金
耐震改修工事にかかる費用の一部を補助金で賄うことができます。 補助金の額は、建物の種類や規模、耐震改修の内容などによって異なります。
自治体の助成金
東京都
東京都では、「東京都耐震化促進事業」という補助金制度を設けています。 この制度では、耐震診断と耐震改修工事の費用の一部を助成します。
各区市町村
各区市町村でも、独自の補助金制度を設けている場合があります。
詳しくは各区のホームページなどに掲載されています。
耐震補強工事に活用できる減税制度
住宅ローン減税
10年以上の住宅ローンを組んでいる場合、最長10年間、ローンの年末残高(既存住宅で省エネ基準を満たす住宅では3,000万円、その他の住宅では2,000万円)の0.7%を所得税から控除する
所得税の控除
1年間、上限25万円控除 ・住宅ローンの有無にかかわらず申請可能で、一般的な工事費用相当額の10%を所得税から控除
主な条件
・1981年5月31日以前に建築された家屋であって、自己の居住の用に供する家屋であること。
・耐震改修をした家屋が、現行の耐震基準に適合するものであること。
固定資産税の減税
1年間、住宅(家屋面積120㎡まで)の固定資産税の2分の1を軽減
主な条件
・1982年1月1日以前にから所在する住宅であること
・2013年1月1日から2024年3月31日までの間に、現行の耐震基準に適合する改修工事を行ったものであること
・1戸当たりの工事費が50万円超であること
ファミリー工房の耐震改修工事の事例
一戸建て住宅の耐震工事
所在地: 東京都台東区
建物の年数: 築40年
補助金: 台東区の助成金200万円を使用
工事の内容: 基礎補強、柱・梁の強化、耐震補強壁の設置
予算: 約2,000,000円
詳細はこちら
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まとめ
耐震工事は、家を地震から守るためにとても大切な工事です。今後30年以内に大規模な地震が発生する可能性が高まっているため、早めの対策がますます重要です。
耐震補強をするためにはお金がかかりますが、補助金や助成金を利用することができます。これは、自治体や政府が耐震工事の費用を一部負担してくれる制度です。こうした制度を使えば、費用を抑えて家の耐震性を高めることができます。
ファミリー工房では、みなさんが安全な家で安心して暮らせるよう、住んでいる地域や家の状態に合わせて最適な方法を見つけ、耐震補強の相談や計画作りから、助成金の申請まで、専門のチームがサポートします。
ファミリー工房は、みなさんの安全と快適さを第一に考えています。ぜひお気軽にご相談ください。
- 監修者
- 吉澤 理都
Chief
【保有資格】
・一級建築士
・監理技術者
・既存住宅状況調査技術者
〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
JR線・東京メトロ千代田線「北綾瀬駅」下車 徒歩7分
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10:00~18:00 / 定休:毎週日・月
※夏期休暇、年末年始休暇、ゴールデンウィークを除く
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