リフォームとリノベーションの違いとは?メリット・デメリット、費用相場の違いも解説
「住宅を直したいがリフォームとリノベーションのどちらが相応しいか知りたい」
「そもそもリフォームとリノベーションの違いがわからない」
「両者の違いや費用感について知っておきたい」
住宅の修繕を考えているものの、リフォームとリノベーションのどちらを選択すべきか悩んでいる方もいるかと思います。そもそも「リフォームとリノベーションの違いがわからない」といった方も多いはずです。
そこで本記事では、リフォームとリノベーションの違いについて徹底解説。両者の定義的な違いをはじめ、メリット・デメリット、費用感まで幅広くお伝えします。
目次
リフォームとリノベーションの定義的な違い
さっそく本題である、リフォームとリノベーションの違いについて解説します。結論先にお伝えすると、リフォームは「戻す」、リノベーションは「作りかえる」です。
リフォームは「戻す」というニュアンス
リフォームとは、住宅の古くなった内装や設備を元の状態に戻すための改修をいいます。
たとえば、20年以上使っているキッチンを新しくする、壁紙やクロスを張り替えるなど。あくまで表層的な改装工事をリフォームと言い表します。
リノベーションは「作りかえる」というニュアンス
一方のリノベーションは、リフォームよりも本質的な部分を手直しする改修を指します。
たとえば、間取りや配管などを丸ごと替える、全解体して材木だけを再利用して立て替えるなど。古い建物を新しいものに刷新する、といったニュアンスです。
とはいえ、リノベーションにも、部分的なものや全解体するものなど、タイプはさまざま。通常リフォームで行うような表層的な工事をリノベーションと呼んでいる業者もあります。
リフォーム・リノベーション用語の解説
リフォームとリノベーションの違いについての理解を深めるために、関連する用語について詳しく解説します。以下に主要な用語をまとめました。
リフォーム
リフォームとは、老朽化した部分の修繕や設備の交換を行う工事です。元の状態に戻すことを目的とした改修が多く、比較的小規模な工事が中心です。
リノベーション
リノベーションとは、既存の建物に新たな価値を加える大規模な改修工事を指します。単なる修繕ではなく、デザインや機能を大幅に改善し、建物全体を一新することを目的としています。
フルリフォーム
フルリフォームは、建物全体を対象としたリフォーム工事です。建物の構造部分は維持しながら、内装や設備を全面的に新しくすることで、新築同様の仕上がりを目指します。
フルリノベーション
フルリノベーションは、建物全体を対象とした大規模な改修工事です。内部の間取りや設備を一新し、新築同様の状態にします。これにより、建物の価値を大幅に向上させることができます。
スケルトンリフォーム
スケルトンリフォームもスケルトンリノベーションと同様に、建物の構造部分を残して内部を解体・再構築する工事です。しかし、リノベーションほど大規模ではなく、改修の範囲や目的に応じて行われます。
スケルトンリノベーション
スケルトンリノベーションとは、建物の構造部分(柱や梁など)だけを残し、内部をすべて解体して再構築する改修工事です。この方法により、自由な間取り設計や最新の設備導入が可能となります。
表層リフォーム
表層リフォームは、建物の表面部分の修繕や改善を行う工事です。内装の壁紙や床材の張り替え、外壁の塗り替えなど、比較的小規模な改修が含まれます。
表層リノベーション
表層リノベーションは、建物の表面部分(内装や外装)を中心に行う改修工事です。内部構造には手を加えず、壁や床、天井の仕上げ材を新しくすることで、見た目の印象を大きく変えることができます。
部分リフォーム
部分リフォームは、建物の一部を修繕・改善する工事です。特定の箇所だけを改修するため、コストを抑えつつ住まいの機能や美観を向上させることができます。例えば、バスルームやキッチンの改装、部屋の壁紙や床材の変更などが含まれます。
部分リノベーション
部分リノベーションは、建物の一部を対象とした改修工事です。例えば、キッチンやバスルームなど特定のエリアのみを改修する場合に用いられます。費用を抑えながら、必要な部分だけを改善することができます。
リフォームのメリット
まずは、リフォームのメリットについて見ていきましょう。
具体的なメリットとして以下のものがあげられます。
- ・工期が短い傾向にある
- ・完成イメージを掴みやすい
工期が短い傾向にある
リフォームでは部分的・表層的な改修が多いため、工期が短期間で済むケースがほとんど。たとえばトイレ交換の場合、数時間〜1日で済みます。
キッチンだと1〜3日、浴室の改修でも3〜4日で終わるケースがほとんどです。長くても1ヶ月程度で工事が終わります。また工事規模も少ないため、リノベーションよりもコストが安いのも強みです。
完成イメージを掴みやすい
リフォームでは、柱や梁など建物の構造部分には手をつけません。あくまで部分的な工事だけを行うため、完成後のイメージも掴みやすいです。
間取りの変更や配管の入れ替えなどリノベーションで行うような大がかりな工事をしないため、生活への支障が少ないのも強みといえます。
リフォームのデメリット
続いて、リフォームのデメリットを見ていきましょう。
具体的なデメリットとして以下のものがあげられます。
- ・設計範囲が狭い
- ・デザイン性を追求しにくい
設計範囲が狭い
リフォームは、トイレや浴室などピンポイントでの改修だけなので、リノベーションと比べて設計範囲が狭いのが難点。
せっかくリフォームをするのだからあれもこれも直したい、内装を大きく変えたい、といった要望には応えられないのが現状です。
デザイン性を追求しにくい
繰り返しになりますが、リフォームはピンポイントのみの改修に特化しているため、デザインは追求しにくいです。
たとえばリノベーションなら、間取りや内装の工事と同時に水回り工事を行えるため、トイレやキッチンなども全体の空間に合わせたデザインに設計できます。
リノベーションのメリット
続いて、リノベーションのメリットを見ていきましょう。具体的なメリットとして以下のものがあげられます。
生活スタイルに合わせた住宅設計ができる
リノベーションの最大の魅力ともいえるのが、設計の自由度です。設計例として以下のものがあげられます。
- ・子どもに目が届くようオープンな間取りにする
- ・段差をなくして誰でも快適に歩けるようにする
- ・古民家のレトロな雰囲気を残しつつ最新設備を入れた「和モダン」な空間を作る
古民家をリノベーションする場合は、レトロな雰囲気を活かしたおしゃれな空間を作ることができるでしょう。子どもから高齢者に対応したバリアフリー設計など、入居者の生活スタイルに合わせた住宅設計ができます。
物件の選択肢が多い
安い物件を買ってリノベーションするのも手です。リノベーションを前提で考えれば、10~20年の物件だけでなく、古民家なども選択肢に入ります。古民家であってもフルリノベーションを行えば、新築と同様の快適性・機能性が手に入りますよ。
リノベーションのデメリット
次に、リノベーションのデメリットをお伝えします。
具体的なデメリットとして以下のものがあげられます。
- ・住み始めるまでに時間がかかる
- ・コストとスケジュール感を掴みにくい
住み始めるまでに時間がかかる
リノベーションは、場合によっては解体から始まるなど改修範囲が広いため、実際に住み始められるまで時間がかかります。
工事を始める前に住宅の調査が必要だったり、着工後にトラブルが起きて対応に時間がかかったりと、数ヶ月単位の工期が必要です。
コストとスケジュール感を掴みにくい
リノベーションでは大まかな計画を立てますが、その通りに工事が進むとは限りません。たとえば以下のようなトラブルが起きることもしばしば。
- ・問題ないと思っていた配管に修理が必要となった
- ・解体後の部材を再利用しようと思っていたが多くが再利用できないレベルの品質・耐久性だった
リノベーションでは「想定外」が起こりやすいです。想定外のトラブルが起こった結果、予算やスケジュールを大幅にオーバーしてしまう、といったケースも少なくありません。
リフォームの費用感
リフォームとリノベーションの違いやメリット・デメリットをお伝えしましたが、費用感も気になる部分かと思います。まずは「リフォーム」の費用感を見ていきましょう。
先述の通り、リフォームは部分的な補修や入れ替えがメインです。以下のような費用感となります。
リフォーム内容 | 費用感 |
キッチン | 60〜100万円 アイランドキッチンやオーダーメイドキッチンの場合は100万円以上 |
トイレ | 15万円以下 節電・節水など機能に優れたトイレの場合は30万円を超える場合も |
浴室 | 〜120万円 面積拡大やオーダーメイド浴室の場合、費用が高くなる傾向にある |
洗面台 | 10〜25万円 洗面台本体の大きさやオプションによって費用は変動する |
壁紙・クロス張り替え | 5〜10万円 部屋の広さやクロスのグレードによって費用は変動する |
床張り替え | 〜10万円 床材の種類や下地の状態、工法によって費用は変動する |
リノベーションの費用感
続いて、リノベーションの費用感を見ていきましょう。ひと口に「リノベーション」といっても、どの程度補修や工事、設備入れ替えを行うかによって費用は異なります。
ここでは参考事例として、フルリノベーション(スケルトン状態から大規模に修繕する方法)の費用感をお伝えします。
住宅形式 | 費用感 |
一戸建て | 390〜2,000万円 |
マンション | 250〜900万円 |
リノベーション費用の内訳
リノベーション内容 | 費用感 |
間取り変更 | 7〜20万円 |
トイレ | 15〜50万円 |
浴室 | 50〜150万円 |
リビング | 15〜150万円 |
和室から洋室に変更 | 25〜100万円 |
リフォーム・リノベーション費用に悩んだら「補助金」の活用がおすすめ
大規模なリフォームやリノベーションを行う場合、大きなコストがかかります。当然ながら、コストはできるだけ抑えたいもの。ここでは、リフォームやリノベーションで活用できる補助金制度をご紹介します。
補助金 | 内容 |
バリアフリーリフォームの補助金(高齢者住宅回収費用助成制度) | 住宅に「要介護」「要支援」の人がいる場合、手すりやスロープを取り付ける、段差をなくすなどの工事費用が補助される(最大20万円) |
耐震リフォームへの減税・補助金 | リフォーム減税 条件に該当(1981年5月31日以前に建築された物件の耐震工事など)する住宅に対して工事費の10%を減税する リフォーム補助金 各自治体が実施。例:東京都千代田区では耐震診断を行った際の費用に対して最大15万円を補助など |
省エネリフォーム減税 | 一般断熱改修工事などを行った場合に減税される制度 |
上記の補助金は、耐震や断熱、バリアフリーなど一定のリフォーム・リノベーション条件を満たした場合にのみ申請できます。数十万円の補助や減税が見込めるので、該当する可能性のある場合は一度確認してみましょう。
理想的なリフォーム・リノベーションを行うためのポイント
リフォームやリノベーションにかかる費用は目的や施工内容によってさまざま。せっかくお金をかけて行うものですから、理想的なリフォーム・リノベーションを行いたいもの。ここでは理想的なリフォーム・リノベーションを行うためのポイントをお伝えします。
- ・理想の住居や機能を掘り下げる
- ・要望の優先順位を決める
- ・担当者と予算のすり合わせを行う
理想の住居や機能を掘り下げる
ひと口に「リフォーム」「リノベーション」といっても、人によって目的や予算はそれぞれ。理想のリフォーム・リノベーションを行うためにも「どんな家に住みたいか」「どんな機能が欲しいか」を深く考えてみましょう。
たとえば、「キッチンや浴室、給湯器などはストレスなく使いたい」「白を基調としたおしゃれな空間にしたい」など。自分の理想とする家や機能ついてじっくりと考えてみてください。
要望の優先順位を決める
色々な箇所をリフォーム・リノベーションしたいあまり、必要以上の施工を行わないよう注意しましょう。「あれもこれも」状態になった結果、予算が大幅にオーバーしてしまいます。
そこで大切なのが、要望の優先順位を決めることです。たとえば、「浴室は広さだけクリアしていれば給湯器のグレードは下げても良い」「壁紙優先で床は張り替えなくて良い」など。
「ここだけは絶対にリフォーム・リノベーションで解決したい」と「できればリフォーム・リノベーションしたいが、予算次第で削っても良い」を明確に分けておきましょう。
担当者と予算のすり合わせを行う
理想とするリフォーム・リノベーションがあっても、必ずしも予算内で収まるとは限りません。まずは担当者と予算をしっかりとすり合わせることが大切です。具体的な予算感を伝えておくことで、担当者も「予算内での理想のリフォーム・リノベーション」を提案してくれます。
【まとめ】予算や目的に合わせてリフォーム・リノベーションを選ぼう
リフォームとリノベーションでは、工事規模や設計の自由度などが大きく異なります。一般的にはリフォームは部分的、リノベーションは大規模な補修・入れ替え工事といったイメージです。
どの程度の補修を行いたいのかや用意できる予算に合わせて、リフォーム・リノベーションのご自身にとって相応しい方を選択しましょう。
- 監修者
- 吉澤 理都
Chief
【保有資格】
・一級建築士
・監理技術者
・既存住宅状況調査技術者
〒120-0001 東京都足立区大谷田 4-1-20 1F
JR線・東京メトロ千代田線「北綾瀬駅」下車 徒歩7分
営業時間
10:00~18:00 / 定休:毎週日・月
※夏期休暇、年末年始休暇、ゴールデンウィークを除く
きめ細やかな視点で、お客様の生活に寄り添った提案を行います。
まずは気軽にお問い合わせください。
よろしくお願いします。